目の前の
カウンター席…

いつものように
ニコッと笑って、
いつものように
「おはようございます。」

と、
丁寧な挨拶をして
ゆっくり腰を下ろされる
黄昏さん…



そんな黄昏さんは
リリーのお母ちゃんと
同い年…


いろんな話に花が咲き…



珈琲のあとの
お茶を入れながら
リリーは尋ねた。



「〇〇さん…



長い人生の中で

 いちばん…

いっちばん、楽しかったのは

                                …いつ~?」






「…そうやねぇ~…」




しばらく考えて…



「そうやねぇ~…

    孫の世話をしてた時かなぁ~…



両親の代わりに
参観日に行ったり…

買物に行ったり…

ご飯を作ってやったり…


あの頃は
楽しかったなぁ~~~…




孫といっしょに
過ごした頃が
いちばん楽しかったわ~。




その前も…


その後も…




な~んにも
楽しい事なんか
なかったわ~…

父親は
戦死したし…



その後も…



辛いことばっかりでした。」






リリーは
意外だった…



そして、
その話を聞きながら

リリーは
自分に尋ねていた。


自分に重ねていた。






…言葉が…出ない…


…何か言ったら
       涙が溢れる~…



…泣いたらアカン!

…泣くとこちゃう!





もしかしたら…


ひょっとしたら…




リリーも
あの頃が
いちばん楽しかったかも~…


楽しませてもらったかも…





そして…

気持ちを切り替えて
リリーは言った。





「ええやん!

…これから

もう、ひと花
咲かせたらええやん!


最後に

ドカーーーンと!


どやっ!言うて~…


       …


           …どおっ!?」




「あはははっ…


と、
いつものように
大笑い~…



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