HANABI。 | 潤いと和み。

潤いと和み。

世界中に巻き起こしてる5人が大好き♥
末っ子溺愛中です♥

末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡

妄想blです。






お嫌いな方はスルーで。













満員という程ではないけど
それなりの混み具合の電車に揺られて
帰路につく。

まだ蒸し暑さしかない夏の終わり。
車内は反面、冷房が効いていて
首筋を伝っていたはずの汗も冷えてくる。

車窓から見える住宅街。
たくさんの灯りの点いた窓。

その向こう側。
大きくひとつ、花火が上がった。


「あ・・・。」


思わず零れた声だけど、きっと誰も気付いていないだろう。

大きなその花を皮切りに、次々と大小の花が夜空に咲く。

それを見て思い出すのは、もうずっと昔の思い出。


・・・潤くんと見た、最初の花火。


あれからもう10年。
20代も半ばになって、それなりに責任の伴う仕事も任されるようになって。
あの頃より、きっと随分大人になったはず。

こんなに好きになれる人なんていない。
あの頃はそんな風に思っていたけど。
今思うと、それがもう子供の考えなんだってわかる。

あれから10年。

もう、いい大人だ。

色々あった。

だから、あの頃と同じ気持ちでいられない今の自分も
素直に受け入れられる。

電車の窓越しに見る花火に、懐かしいような、切ないような
そんな思いが胸に広がっていった。






ポケットから鍵を取り出し、玄関を開ける。
靴を脱いで、鍵を下駄箱の上のいつもの場所に置いて。
そのまま洗面所に直行する。

手を洗いながら鏡の中の自分と目が合って、何かしょぼくれた顔してんなぁなんて思った。

きっと、あの花火のせいだ。


初めて一緒に遊んだ日。
潤くんの涙を見た日。
一緒に花火を見た日。

初めてキスをした日。

気持ちも、身体も、全部を繋げた日。

あんなに遠くから見える花火ひとつで次々と潤くんとの記憶が過ぎる。

それくらい、俺の記憶は潤くんで溢れていて。
懐かしくて、切なくて、泣きたくなるような思い出。
そんな自分が嫌で、そのまま顔を洗った。
しょぼくれた気持ちも洗い流したかった。





「ただいまー。今日のご飯なにー?」

玄関ドアが閉まる音がしたと思ったらすぐに声が響く。

「コロッケ。久々に作ってみた。」

「お?これって、アレじゃね?」

キッチンに立つ俺の背中に回った潤くんが、きゅっと腰を抱く。

「そう、初めて二人で一緒に作ったヤツ。懐かしくない?」

潤くんの唇が首筋に触れるのを感じながらも、じゃがいもを潰す手は止めない。

「懐かしいね。どした?何かあった?」

ちゅっとリップ音を立てて何度も触れてくる潤くんの唇がちょっと擽ったいけど、それが気持ちよくて幸せで。

「電車の中から、花火が見えたんだ。そしたら何か、色々思い出しちゃった。」

「あぁ、花火かぁ。
もうそんな季節なんだな。」

「ふふ。今年は見に行けるかな?」

「んー・・・行きたいよね?」

潰し終わったじゃがいも、マッシャーを置いて、潤くんの腕の中でくるりと体を反転させる。

「今年は行こっか?久しぶりに。」

「そうだな。ついでに、お互いの実家に寄ろうか。」

潤くんの言葉で、一瞬体が強ばる。

それはつまり

「・・・親に、話すってこと?」

もう随分と前から潤くんに言われていた。
ちゃんとしようって。

「かずはまだ、言いたくない?」

「・・・わかんない。」


あの頃の、ただ好きってだけの気持ちじゃダメなんだろうか。
ただ一緒にいたいってだけじゃ、ダメなんだろうか。


何度も何度も、同じ言葉が頭の中を駆け巡る。
そうして、結局はいつも同じ所に行き着くんだ。

そんな俺を見透かすみたいに、真面目な顔をして俺を見つめる潤くん。

「かず、ずっと一緒にいて欲しい。」

昔から変わらない、真っ直ぐな言葉。

簡単に、感情のままに口にしている言葉じゃないって事くらいわかる。

それでも。

緩めたネクタイと外したシャツのボタンの間から覗くその首元があの頃とまるで違う大人の男のそれで


どうしたって、ドキドキしてしまう。

好きで。
好きで、好きで。

あの頃とは違う、好きって気持ち。

一生を共に生きたいって思いは、俺も同じ。


10年。
変わらずに隣に居て、思いを伝えあってきた。
あの頃と全く同じ気持ちじゃない。

あの頃よりもずっと、好きで。


だから、俺も覚悟を決めないといけないんだ。


「潤くん、ずっと一緒にいよう。」



きっとこの言葉だけで伝わるはず。


この言葉で、俺と潤くんの未来はあの日見た花火のように打ち上げられる。
あとはその花が開くかどうか。


きっと大丈夫。
俺と潤くんだもの。

あの日見た花火を思い出して、
誓うように潤くんにキスをした。