スタートライン。8 | 潤いと和み。

潤いと和み。

世界中に巻き起こしてる5人が大好き♥
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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。







side  N




いつもなら、家にいる時だって
なんだかんだくだらない事でも
つい送ってしまうメッセージを我慢していた。
じゅんくんは追試に向けて勉強をしてるだろうから。


同じテレビを見ながらメッセージを送りあって一緒に見てる気分になったり、宿題のわかんないとこを教えあったりしてたけど。


今は、我慢しなきゃいけない。


邪魔しちゃいけない。


そうやって本当の意味で1人きりの時間を過ごしてると、どうしたってあの子の言葉はやっぱりオレの中でグルグルと渦を巻くように思い出してくる。



ずっと考えていた。
オレの気持ちは、ちゃんと伝わってるんだろうかって。
ちゃんと伝わるように言葉にしてきただろうかって。


今まで一人で過ごす事が多くて
あんまり上手く自分の気持ちを言葉にするのが得意じゃなかったけど
伝えたい相手、伝えなきゃいけない相手には、ちゃんと頑張らないといけないって。


あの子の言葉は、今を大事にしないといけないんじゃないかって思わせる。
未来を、将来を、じゅんくんと一緒に歩く為に、今を大事にする。


だから、今オレが出来る事は我慢する事なのかなって。


それでも今まで毎日日課みたいにやり取りしてたメッセージの着信音が鳴らないスマホが、何か淋しくて。


今日は特に、家に一人でいるから余計に静かに感じて、いつもならあんまり感じる事がない気持ちにさせる。


「・・・じゅんくん、勉強してるだろうなぁ。」


思わず溢れた。
その言葉が、更に淋しさを感じさせる。



ソファの上で膝を抱える腕にぎゅって力を込める。


淋しいの、飛んでけって。
今は我慢しなきゃ、って。


ぎゅーって力を込めて、目もぎゅっと瞑って、こうして小さくなっていれば淋しいのもそのうち治まるから。


父ちゃんも母ちゃんも夜勤で一人の夜、
淋しくなったときはいつもこうしてた。
だから、時間が経てば平気になる。


なるはず。


だけど、全然気持ちは落ち着いてくれない。


「・・・なんでかなぁ。」


何も出来ない自分が情けない。
じゅんくんの為に出来る事が、我慢することだけなんて。


余りにも情けない。


淋しいのと悔しいの、そんな気持ちがごちゃ混ぜになって溢れそうになる。


「・・・くそっ!」


・・・ほんのちょっとだけ。
・・・一瞬だけなら、いいよね?


そんな思いで立ち上がり、自転車の鍵を手に玄関のドアを開けた。





ゆっくりゆっくりペダルを踏む。
じゅんくんの家まで、いつもなら15分くらいの距離なのに

いつも以上にゆっくりと進む。


ホントにこれで良かったのかな・・・


自分のやってる事に自信が持てなくて、
それがペダルを踏み込む足を
いつも以上に重たく感じさせてる。


それでもひとつ漕げばその分自転車は進んで、目的の場所に近づく。

ゆっくり、ゆっくりとだけど、確実に。

あとひとつ角を曲がって、もう少し行けばじゅんくんの家だ。



角を曲がり、すぐにじゅんくんの家が見えてきて思わずブレーキを握った。
その場所からは、じゅんくんの部屋の窓が見えたから。


・・・明かり、点いてる。


それは、じゅんくんが部屋にいるって事で。
それはつまり、今きっと勉強してるって事で。


部屋の明かりを見て、やっぱダメだって思った。


・・・邪魔しちゃダメだ。


自転車のハンドルをぎゅって握りしめて、じゅんくんに届くように祈った。


頑張れ。
頑張れ。


・・・オレも、頑張るから。


あの子の言葉、母ちゃんの言葉、グルグルしてる上手く言い表せない気持ち。

そのどれもにちゃんと胸を張れる自分になるように。
今みたいに、モヤモヤしたものから逃げるみたいな自分じゃいけないんだって思えた。

じゅんくんが頑張ってるから、きっとオレも頑張れる。


「・・・よしっ!」


声に出して、自転車をクルっと反転させ今来た道を戻るために
ペダルを勢いよく漕いだ。