スタートライン。6 | 潤いと和み。

潤いと和み。

世界中に巻き起こしてる5人が大好き♥
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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。






side   N







「おやつにたい焼き買ってあるけど、食べる?」

台所にいる母ちゃんは、オレの返事も聞かずにもう既にたい焼きをトースターの中に入れていたから、自分の部屋に上がって着替えて、リビングに降りた。
そこには母ちゃんとオレのと二人分のお皿に乗ったたい焼きと、コーヒーが置いてあった。



「クラス替え、どうだったの?」

昨日は夜勤で、オレが帰ってきたときにはもう既に仕事に行ってた母ちゃんは、クラス替えの結果すらまだ話せていない。
向かい合わせに座って、2人でたい焼きを頬張る。

「うん、じゅんくんと同じクラス。」

「そう!良かったじゃない。」

「ん。」

かあちゃんの嬉しそうな声に、いつもなら突っ込むんだけど。
今日はどうしてもそんな気になれない。


「どうしたの?何かあったの?」


母ちゃんに言っていいのかな?って躊躇う。
だって、テストの点数なんて超プライバシーな事だもん。
迷って何も答えられずにいると、母ちゃんが右手を差し出した。


「・・・なに?」

「テスト。返ってきたんでしょ?一応見とくから。」

「一応って・・・。」


母ちゃんは、いつもこうだ。
オレの成績とかはあまり気にしない。
それでも、一応と言いながらテストの結果を見ては「いいんじゃない?」って言う。
良くても悪くても。

一口だけ齧ったたいやきを皿に戻して、カバンの中から取ってきたテストの結果を手渡した。


「ふーん・・・。しょぼくれた顔の原因は、テストの結果じゃなさそうね。」


ものの数分眺めたそのプリントをありがとって言って返してきた母ちゃんのその言葉に、ちょっとだけドキっとした。
ドキってして、やっぱ母ちゃんには隠せないものなんだなって思った。


「・・・じゅんくんが、あんま点数良くなかったみたいで・・・。」

「あんたが邪魔したんじゃないの?」

「そんなっ・・・!
してない!・・・と思う。」

「うん。あたしはアンタ達を信じてるから、今回はたまたまって事だと思ってる。
でも、理解してくれてる人ばかりじゃないのも現実なの。わかる?」

「・・・うん。」


よく一緒に勉強してるのは母ちゃんも知ってるはず。
それでもオレが邪魔したんじゃないのかって言われたら、ハッキリと否定出来ない。


「あたしは、和也と同じように、潤くんの事も可愛いと思ってる。
だからこそ、頑張ってるのを見ればそれに見合うだけの結果も手にして欲しい。
和也との付き合いでそれが出来ないのなら、今までどおり見守る事は、出来ない。」

「え?それって・・・どうゆうこと?」

「あんたの存在が潤くんの邪魔になってるのなら、このまま黙ってるわけにはいかないってこと。
潤くん、きっとあんたよりもっとショックなはずよ。潤ママから怒られてるかも。遊んでばかりで!って。」

「遊んでばっかじゃねぇもん!勉強もしてたよ!!」

「わかってるわよ!
だけど、わかってくれる人ばかりじゃないのもわかりなさい。
付き合う相手によって成績が下がったって思う人もいるの。」


母ちゃんの言葉は尤もで、黙って聞くしかなかった。
だけど、なんかちょっと悔しくて思わず唇を噛んでしまう。


「なんて顔してんのよ。
学生時代の友達って、大人になってもずっと繋がっていられる相手はひと握りしか残らないの。環境が変わったり、疎遠になったり、周りの雑音のせいだったりでね。
だからこそ、大事にして欲しいと思うの。
成績とか素行とか、お互いの気持ちじゃない部分で、そんな小さな事で二人にケチが付くなんて、悲しいでしよ?」


オレは、ずっとじゅんくんと一緒にいられると思ってる。
だけど、母ちゃんの言葉はあの子の言葉と重なる部分もあって、じゅんくんのテストの事で忘れてた昨日のモヤモヤしてた気持ちを思い出させる。


「自分の子供が大事なのと同じように、周りの関わってくれる人も大事なの。どちらにも悲しい思いはして欲しくない。
だからこそ、言いたくない事も言う。
わかる?!」

「・・・うん、わかる。」


母ちゃんが、オレを信じてくれてるのと同じだけ、じゅんくんを信じてくれてる。
だから、今まで何も言わずにいてくれたんだよね。


「わかってるのなら、今自分がやるべき事もわかるんじゃない?
潤くんの邪魔になるような事はしちゃダメよ。」

「・・・うん。」


皿の上の一口だけ齧ったたい焼きはもう冷えてしまっていたけど、気にせずそのまま全部食べた。




母ちゃんの言葉で、モヤモヤした気持ちが晴れそうな気がして、ゴロンって横になったベッドの上で
大きくひとつ息を吐いて目を閉じた。


ずっと今と同じなわけじゃない。
どんなにそれを望んでも。

だからこそ、
今やらなければならない事。

今、オレが出来ること。


「はぁ・・・。」


またひとつ、思わずため息が漏れた。