宵待つはうたかたの中で。28 | 潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡




妄想blです。








お嫌いな方はスルーで。







どれくらいの時間そうしていたのか。
そろそろ上がらなきゃって、コックに手を伸ばした瞬間。


外が光った。
光って数秒、大きな音が轟く。


思わず体がビクってなった。
頭を過ぎるのは、あの事故の日の記憶。
事故の記憶に引きづられて、先輩との事も
思い出す。


「・・・あ、・・・あ、あ・・・。」


ドクドクと早いリズムで心臓が動く。
呼吸が早くなる。


「・・・あ・・・はっ、はっ、はっ・・・」


絞り出すみたな息しか出てこなくて苦しくて
胸に手を当てた。


落ち着け、落ち着け。
大丈夫だから。


鈍くなる思考の中、何度も自分に言い聞かせる。
だけど、心臓は呼吸をオレの意思をまるで無視して
ちっとも落ち着いてなんかくれなくて。


どうしよう
どうしよう・・・っ!


「・・・じゅ、・・・じゅ・・・ん、」


掠れる声で、呼んだ。


その時。


まるで、オレの声が聞こえたみたいに
バスルームの折戸がガコンって開いて
焦った顔した松本さんが飛び込んできた。


「ニノ!ニノ、大丈夫?!」

「・・・じゅ・・・じゅ・・・っ!!」


伸ばした手を掴まれて、そのまま抱きしめられる。


ひとりじゃない。

呼べば、ちゃんと気付いてくれる。

その声が、どんなに小さくても、
どんなに掠れていても。


気付いて抱きしめてくれる。


「じゅん・・・じゅんっ!!」

「ニノ・・・もう大丈夫だから。」


その大きな胸に抱きしめられて、気付けば涙が流れてた。

溢れる涙と一緒に、もうひとつの記憶が掠める。
この暖かい胸に抱かれる感触を知ってる。
何度も優しい声で呼ばれた自分の名前、その音を覚えてる。
背中を撫でる手の温もりを、知ってる。


今、オレの感情を思考を支配しているのは
ニノの記憶なんだろうか。

その手に、声に、全部を預けても大丈夫だって安心して、少しずつ心臓と呼吸が落ち着いてきた。
それは松本さんにも伝わったようで。

撫でていた手は、
いつのまにかポンポンと心臓のリズムと同じ速さで背中を叩く。


それはまるで、赤ちゃんをあやすみたい。


大丈夫だよ、傍にいるよ


まるで、そう言ってるみたい。



座り込んだ浴室の床、その胸に埋まるようにして二人してシャワーに打たれながら
ポンポンと背中を叩くリズムを感じていた。


「ねぇ。なんで、もっとたくさん名前呼んでくれなかったの?」


小さな声で聞かれて。


「・・・呼びたかったんだけど、声が出なかった。」

「呼びたかったんだ。なんで声が出なかったんだろうね・・・。」

「多分、だけど。病院に運ばれて、最初は喉に管が入ってたって。それのせいかも・・・」

「なるほど・・・。それなら、声が出せないね。」



松本さんの問いに自然に答える自分に、ちょっと驚く。
今、オレはニノの記憶を辿っている。


そして。

松本さんも、同じようにニノとの記憶を辿っている。


すごく不思議な感覚だった。


ニノでも、オレでも
どちらでもいいって言った。
全部覚えておくからって。



今。
松本さんの目に写ってるのは



オレなの?



それとも




ニノなの・・・?