宵待つはうたかたの中で。27 | 潤いと和み。

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J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。











隣に座る松本さんの胸に飛び込んだ。

それはまるで、横からのタックルみたいな格好。

勢いが付いた体は、そのまま砂浜に倒れる。
だけど、その腕が抱きとめてくれたから
衝撃はほとんど無かった。


手の中の缶コーヒーすらもどうでもいいと思えるくらい、この人に触れたい。
感情のままに動いた。
そして今、それをちょっと後悔していた。


・・・顔が、上げられない。



「・・・二宮さん?どうしたの?」

「・・・わかんない。でも、こうしたくなった。」


恥ずかしさを隠すみたいに答えたその声は、ぶっきらぼう過ぎたかもって自分で心配になるくらい。
だけど、本当にこの後の事を何も考えてなかったんだ。


どうしよう・・・。


ぎゅっとその胸にしがみついた。


「・・・コーヒー、溢れちゃったよ?」


クスクス笑うみたいに言われて、申し訳なさが立つ。


「・・・ごめんなさい。」


謝罪の言葉は出るけど、まだ顔は上げられない。


「派手に溢れたから、このままじゃベタベタしちゃいますよ。うち、近いんで・・・シャワーしにうちに来ませんか?」


え?って思う間もなく、起き上がった松本さんに手を引かれて
ロングリードの先で遊ぶたろうに声を掛けて。

あっという間に手を手を引かれて、海岸を後にしていた。





『J’s』と書かれた看板が架かる門柱を抜け、玄関ドアを開けた松本さん。


「・・・どうぞ。大野さんちみたいな豪邸じゃないど。」

「・・・お邪魔、します・・・。」


招き入れられた家は、ナチュラルテイストのこじんまりとした一軒家。
バスルームは廊下の突き当たりだと言われ、そのとおりに進む。

その廊下の途中、開け放たれたドアから見えるその部屋はリビングのだろうか。
ソファと、テーブル。そして、一角が仕事場のようになっていて、壁伝いにある棚にはたくさんの本やファイルが並んでいる。


「仕事部屋と打ち合わせの部屋も兼ねてるんで、狭苦しいんですが・・・。」


思わず立ち止まって眺めていたオレに、そう声をかける松本さんは、突き当たりのドアの前まで進んでいた。
狭苦しいなんて言葉は感じさせない綺麗に整頓された部屋は
松本さんの真面目な性格を表してるみだいだと思った。




「脱いだ服は洗濯機に入れて下さいね。着替えはこれを・・・。」


タオルと一緒に渡された着替え一式を受け取って洗面所に入った。
言われた通り脱いだ服を洗濯機に入れて、浴室に入る。
シャワーのコックを捻って、頭からそれを浴びながら
改めて何だか申し訳ない気持ちになった。


それと同時に、躊躇い無くオレを家に招き入れた松本さんに

ほんの少しだけ、胸がぎゅってなった。


こうやって家に上げてくれるのは、優しい人だから?

それとも。

オレが、ニノだから?


そうゆう関係だったのなら、こうして家に上げる事だって普通の事だろう。
そう思って、さらに胸がぎゅっとなる。


ニノは、オレなのに。
そのオレが覚えていない記憶が、モヤモヤとさせる。


・・・なんか、嫌だ。


優しい人だからかもしれない。
だけど、ほんの僅かでも
ニノであるオレだから、こんなに簡単に家に
招き入れてくれたのかもって思いが拭えなくて
その思いが、胸を、頭を掻き乱す。


・・・オレは、ニノに嫉妬してる。


自覚した途端に情けなくなる。
よりにもよって、自分で自分に嫉妬するなんて。


バカげてる、と、思うのに。
一度湧き上がった感情は頭を振っても出ていってくれない。


コックを更に捻って、冷たい水を勢いよく頭から被った。


この、わけのわからない感情も
一緒に洗い流せたらいいのに。