宵待つはうたかたの中で。25 | 潤いと和み。

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大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。









着替えたついでに泊まっていくように誘う大野さんに、さすがにそれは甘えすぎだと丁重に断って
撮影の場所を見せてもらうのは日を改めさせてもらった。


小さな記憶のピースは全部は揃わない。

でも、その隙間を埋めるように溢れる感情。

それらが頭の中で混ざり合う。

混ざりあって、離れて、膨らんだかと思えば
萎む。



膨らむのは、ニノの記憶と感情なんだろう。
そして、萎むのはオレがその記憶と感情の全てを知らないから。

自分の知らないところでもうひとつの自分の人生が進められていた。
しかもそれが、あんなにも切ないものだったから
今の自分とのあまりの違いに、自分で自分に置いていかれるみたいな、何とも言えない複雑な感情になる。


どうしたらいいんだろう。

オレは、どうしたいんだろう。

 


「で、それから会ってないんですか?」

「・・・何となく、こちらからは連絡しづらくて。」


ふーむ・・・ってソファに背を付けて、天井を見上げる櫻井先生。
指先で自分の唇を撫でるその仕草は、先生の考え事をする時の癖なのかな。

いつもの診察室のいつもの座り位置。
斜め前の櫻井先生を見ながら、まるで他人事みたいにそんな事を考えていた。



結局、あれ以来松本さんには連絡出来ずにいた。

オレが、松本さんの探しているニノである可能性が
1歩を踏み出す事を躊躇わせる。


いいのかなって。
松本さんは、オレに会う事をどう思うのかなって。

オレは、あんな眼差しで見つめられる事に耐えられるのかなって。

ニノである確かな確証が持てない状態で会う事は
松本さんを傷つけるような気がしていた。

それと同時に、あの眼差しで見つめられた時に
自分がどんな感情になるのか予想が出来なくて


正直、・・・怖い。


「二宮さんは・・・どうして彼を撮りたいと思ったんですか?」


天井を見ていたはずの櫻井先生は、いつの間にか真っ直ぐにオレを見つめる。
いつものふんわりとした雰囲気で。


「それは・・・松本さんがニノの事を話す時の目が
すごく優しくて、強くて。
オレには無いもの全部を持ってるような気がしたんです。」


オレが持ち合わせていないもの。
この手に欲しいと思うもの。

先輩との事を乗り越えるだけの強さ。
悲しいも淋しいも全部受け止める事が出来るその優しさ。

それを感じたから、松本さんを撮りたいと思った。


「その気持ちは、今も変わらない?」


櫻井先生の言葉に、すぐには答えられない。

松本さんの思い、大野さんのあの見守るような雰囲気に触れてしまうと
それが本気であればあるほど
自分がニノである事に胸を張れるだけのものを持っていない今のオレでは
あの人たちを傷付けてしまうような気がする。


「二宮さんは優しいから、ちょっと難しいかもしれませんが。
相手の気持ちを慮るのはもちろん必要な事だと思いますが、まずは自分の気持ちをちゃんと知る事が先です。
そこがブレてしまうと、相手を思っての行動も途中で歪むと思います。」

「・・・オレの気持ちを知る。」

「そう。自分の思いを、感情を認めるんです。
たとえそれがマイナスなものだとしても、まずはそれを見つめて認める。
そうしなきゃ先は見えないし、進むべき道も見えない。」


オレの、気持ち。
松本さんへの気持ち。

それをちゃんと見つめないと、道は見えてこない。






オレが進むべき道。







それは、いったいどこにあるんだろう。


帰りのバスに揺られながら、櫻井先生の言葉を何度も何度も思い出していた。