宵待つはうたかたの中で。24 | 潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。










一瞬、何が起きたのか分からない。

見える景色がさっきとはまるで違う。


視界いっぱいの青。
その青に登っていく気泡は大小様々で。

それでやっとプールに落ちた事を理解した。


この景色は、あの時と同じ・・・?

フェリーから投げ出されて、暗い海に落ちて沈んでいくあの記憶・・・?


だけど、何となく違和感を覚える。


あの悲しい記憶よりももっと脳に刻まれている強い思い。


その思いを、そっと辿る。
手繰り寄せる。


その瞬間。



・・・置いていかれた?

・・・もう帰ってこない?

・・・触れる手は優しかったのに、オレを置いてくの?


・・・じゅん。



カフェで松本さんの声を聞いた時と同じ、また記憶が過ぎる。

悲しい記憶。
淋しいって感情。


これは、なんだろう。


立ち上がっていく気泡を見ながら、同じような景色を見てすごく淋しくなった。


その時、急に手首を掴まれる。
その方を見ると、そこには松本さんが必死の顔をして手を伸ばしてる。



・・・やっと会えた。

・・・もう、一人じゃないんだ。


捕まえてくれた事が嬉しくて、抱き寄せられたその腕の中が安心できて。


・・・会いたかった。


そんな思いが胸に溢れる。


溢れた思いはそのまま彼に伝えたくなって

抱きしめられた体を更に引き寄せて
そのまま口付けていた。





・・・淋しかったんだから。

・・・どうして置いてっちゃうの?

・・・じゅん。



触れるだけだった唇は、いつの間にか何度も角度を変えていて。
息が続くまで、そのギリギリまで
溢れる思いのままに唇でそれを伝えた。



「・・・二、ノ?」


戸惑うような松本さんの声に、我に帰る。


「あっ・・・ごめ・・・。」

「ニノ、なんで?今の、なんで?」

「・・・もしかして、前にもこんな事あった?」


淋しくて、世界の全部をいらないと手放した。

だけど、待ちわびていたその人が迎えに来てくれた事がすごく嬉しくて。


ずっと、側にいて欲しい。
側にいたい。


心の底から思った。







大野さんに出してもらったバスタオルで濡れた体を拭いて、着替えを貸してもらって。

松本さんから、もう一度同じ質問をされた。


「ニノが、プールから出てこなかった事があったんです。急ぎの仕事が入って、どうしてもこっちに帰れなくなって。それで、ニノは拗ねてプールの底に・・・。」


ふふって優しく笑う松本さんのその笑顔で、さっきの記憶が何となく繋がった。


繋がって、しまった。


それはつまり




オレが、オレの中を掠める記憶は

懐かしいって感情は



全部、全部、ニノに繋がっている。


どう考えても結びつかないはずの事実。

だけど、もしもそれが答えであれば

これらの感情と記憶に合点がいく。符合する。




松本さんが探しているニノは





オレなのかもしれない。