お嫌いな方はスルーで。
電話を終えて、尻のポケットにスマホを突っ込んで。
ふぅ・・・っと一つ息を吐いて気合を入れて、
まーと翔くんがいる表に出た。
それなりに賑わっていたはずの店内は
いつの間にか常連のお客さんだけになっていて
今夜のピークが過ぎたのがわかる。
後はもうそんなにがっつりしたフードメニューが出るような感じではないから、
翔くんの隣、並んでカウンターに立った。
「潤、お疲れ様。」
翔くんがグラスを出してくれて。
何がいい?って聞いてくれたから、とりあえずビールを注いでもらった。
「まー、今日は無理かも。」
注いでもらったビールで喉を潤して、翔くんの目の前に座るまーに謝った。
一度帰って出てきてもらったのは、俺のわがままだから。
「大丈夫だよ。そんな気にしないで。」
くふふって笑って、グラスを煽って。
空にしたそれを差し出して。
「翔ちゃんが一番かっこよく見えるカクテル作ってよ!」
「雅紀が名前付けたヤツにしよっか?」
「いいねー!じゃあ、それ!」
いつもより楽しそうな翔くんと、まー。
その2人の様子にちょっとほっとして、頼んだカクテルに合いそうなツマミを出そうと厨房に引っ込んだ。
冷蔵庫の扉を開けて、一番手前に置いていた
後は焼くだけにしておいたハンバーグのタネ。
かずが来たら出そうと思っていたけど、あのカクテルにも合うだろうし、残しててもしょうがないから、まーに食べてもらおう。
焼き上がったハンバーグをお皿に盛り付け、焼いてる間に用意した小鉢も一緒にトレイに乗せて表に出た。
まーの隣に誰かいる。
翔くんにすっぽりと隠れて、その姿は見えない。
だけど。
その声はよく知った声。
楽しそうに笑ってるその声。
ゆっくりと近づいて、その人を確認した。
そこに座っていたのは
今日は無理だって諦めたその人で。
まーの隣、楽しそうに笑ってる。
翔くんとまーと
かずがいた。