妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
足元に転がる黒猫。
やっぱりビックリさせたのかな。
だけど、言わずにはいられなかった。
順番待ちで並んでる時に感じた、周りの女の子達のかずを振り返る視線。
そして小さく聞こえる「かっこいい」「可愛い」って声。
外見は勿論だけど、ホントのかずの可愛さはそれだけじゃない。
2人だけの時に見せる、あの目がすごく可愛いんだ。
優しく、目だけで微笑むみたいなその表情。
それがすごく好きで。
そのうちオレへの「好き」って気持ちが溢れてくるんだ。
かずが笑ってくれたらすごく幸せで、そんな事を考えてたら、気付けば桜の下で伝えようと決めた思いが言葉になってた。
足元に転がる黒猫を拾い上げて、かずのその手に戻して。
今度はちゃんと目を見て、気持ちを伝えた。
「かずの初めて、オレに全部下さい。」
「俺の、初めて?全部?」
「うん。で、オレの初めても貰ってほしい。かずに。」
「じゅんくんの、初めて・・・」
そう呟いたかずは、一瞬で耳まで真っ赤に染めた。
その顔を見たら何か伝わったような気がした。
「じゅんくん、ちょっと場所変えよう。」
・・・まだプリクラの機械の中だったの、忘れてた。
入った時とは逆に、かずに腕を引かれてビニールの幕の間を抜けて。
撮った画像は落書きしないままプリントして、ふたりでゲーセンを後にした。
どこに行けばふたりでゆっくり話せるのか、考えて考えて。
結局、かずの家に戻ってきてた。
帰り道の二人乗りの自転車では、オレもかずも一言も喋らない。
というか、何も喋れなかった。
クレーンゲームで取った黒猫が、カゴの中で自転車の揺れに合わせて跳ねるだけだった。
「お邪魔します。」
誰もいない事はわかってるけど、それでも一言挨拶をして
リビングを通り過ぎて先にかずの部屋に入る。
ジュースを注いたグラスふたつを手に上がってきたかずの顔は、少し強ばっていて。
それが、何か。
・・・なんか、ちょっと悲しかった。
怖がらせたかったわけじゃない。
ただ、自分の気持ちを伝えたかった。
でもそれがかずを悲しませるのなら、口に出さない方が良かった。
自分の言葉を後悔してた。