桜のした、きみと。12 LAST | 潤いと和み。

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末っ子ふたりの妄想bl書いてます。
J×Nオンリーです(๑´ㅂ`๑)♡*.+゜

大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。







お嫌いな方はスルーで。









唐突にじゅんくんの口から溢れた言葉が
一瞬分からなくて。

俺の初めて。
はじめて。
ハジメテ・・・

そして、じゅんくんの初めて。
はじめて。
ハジメテ・・・。

その真剣な眼差しと優しいけど強い思いが込められた言葉で、理解した。

だけど。
だけど!!
こんなとこで、そんな事言うなんて!!
こんな薄いビニールの壁一枚で仕切られた、こんなとこで、そんな大事な事を言うなんて!!

恥ずかしさで耳が熱い。
きっと赤い顔をしてるのが自分でもわかる。

「じゅんくん、場所変えよう。」

じゅんくんの腕を引いてその場から連れ出した。








家に帰ってきて、じゅんくんを先に部屋に通した。
冷たいジュースを注いだグラスを持って行けば、そこにはちんまりラグに座るじゅんくんがいて。


きっと、素直な気持ちを伝えてくれたんだ。
それがわかるから、尚更複雑な気持ちになる。


そんな大事な事、あんな場所で言わないでよ。
じゅんくんの真っ直ぐな気持ちを伝えるのなら、ちゃんと受け止められる場所で伝えてよ。
そんな事を思っていた。

それが顔に出ていたのか、
じゅんくんが
じゅんくんの目が、


不安そうに揺れた。



「あのさ、じゅんくん。俺だって男だから。気持ち、わかる。」

そう。
俺だって同じ気持ちだ。
じゅんくんの全部が欲しい。
全部を受け止めたい。

どっちがどうで、とか、どうやってとかは、また違う問題で。


俺もじゅんくんも同じ。


それが、嬉しい。
それだけで、嬉しかった。



「同じ気持ちだよ、俺も。」

「かずも?同じ?」

揺れる瞳が、少しだけ力を取り戻すから。
うんって頷いた。


大事な思い出の場所、あの桜の木の下で。
じゅんくんと新しい思い出を作って、心に刻んだ思いがあって。

それがじゅんくんと同じだったなんて
嬉しくないはずがない。


「だから、いつかじゅんくんとそうなれたらいいなって思ってるよ。」


今はまだ、具体的な事は約束出来ないけど、それだけはちゃんと伝えたかった。

「かず、抱きしめてもいい?」

そう聞かれて、答える前に引き寄せられて。
ぎゅって。
その腕の中に包まれた。

この場所が、一番好きな場所。
安心出来る場所。

俺の場所。

その温もりを感じながら、改めてそう思えた。




「ねぇ、かず。オトコ同士ってどうやってスルか、知ってる?」

「・・・ん、知ってる。」

スマホで、ほんの少しだけ調べてみた。
それはあまりにも衝撃的で、戸惑って。
じゅんくんは、オンナノコとは経験してるのかもって思ったら、
きっと俺がアッチ側なんだろうなって、漠然と思った。

「かず、怖い?」

「・・・ちょっとね。でも、じゅんくんとならいいよ。」


思いを伝えて、分け合って。
手を繋いで、お互いの熱に触れて。
もう伝えられるものが、分け合えるものがソレしかないのなら、いいんじゃないのかなって思う。
体を繋げる事で伝えて分け合えて、今よりもっと大好きだって分かり合えるのなら
オトコ同士でもアリだと思う。

「ありがとう、かず。大好きだから。」

「うん、俺も。」

抱きしめるじゅんくんのその手をそっと撫でた。





「ねぇかず。キャップある?」

「キャップ?帽子のこと?」

「うん。かずとオレのと、あるなら貸して。」

急にそう言われて、頭の中でクローゼットの中を思い出して。
じゅんくんに似合いそうなキャップがあるのを思い出す。


「あるけど、どうするの?」


「それ被って、ちょっと今から出掛けよう。付き合ってよ。」

じゅんくんの言葉の意味を分かりたくて、体を捻ってその顔を見たけどじゅんくんは嬉しそうに笑うばっかりで。

結局その意味はわからないまま、キャップを被りじゅんくんに連れ出された。







「ねぇ、どれがいい?」

「・・・わっかんないよ!どれも同じじゃないの?!」

「厚みとかサイズとか、イロイロ書いてる。どれがいいのかな?」

被っていたキャップのツバを下げて、なるべく顔を隠す。



だって



ココは




ドラッグストアの、コンドームが並ぶ棚の前だったから。




一刻も早くこの場から立ち去りたい。
それなのに、隣にいるじゅんくんは特に気にする風でもなく、その棚に並ぶモノをじっくりと見定めていて。

もう!
恥ずかしいから早く決めてよ!!


「こっちかな?あ、でもこっちの方がいい?」


棚に手を伸ばしてその箱を手に取って。
まるで俺にどちらか選べって言ってるみたいに2種類を差し出す。


「・・・こっち、かな?」

小さく指差した方の箱には

『 人生が変わる薄さ! 』

って書いてあった。



わかんないよ?!
わかんないけど!

ある意味、これを使う時は俺の人生が変わる時なんだろうなって思えたから、それを選んだ。







バタバタと帰り着いた俺の部屋で、紙袋からソレを取り出しふたりで手に取る。

結局、レジに並んだのはじゅんくんで、
俺は先に自転車のとこで待ってた。

「ひとりで待ってる間に思ったんだけど、スマホがあるんだからネットとかで買えば、こんな恥ずかしい思いしなくて済んだんじゃないの?」

「うん、そうなんだけど。
オレは、全部かずと共有したかったから。
好きも、怖いも、恥ずかしいも、全部。だから、一緒に買いに行きたかったんだ。」

「じゃあ、コレも半分こする?」

「もちろん!」

俺たちの人生を変えるだろうソレを指先でピンと弾いた。







桜の木の下で、強く思った。
今まで以上に好きだって思った。

ずっとじゅんくんの側にいたいって思った。



手の中にはじゅんくんと繋がる為に必要なモノ。

それはまるで、大人になる為に必要な、大事な鍵みたいで。



その鍵を手にしたのは、高校二年生になるほんのちょっと前の


春の日だった。







おしまい♡