妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
いくつかのゲームで対戦して
あの時にやったゲームもやって。
やっぱり俺が勝って。
次はどれにするー?って話しながらふたりで歩いていたら、
じゅんくんのベッドの枕元に置かれた柴犬のぬいぐるみを見つけた、UFOキャッチャーの一角にその子はいた。
「ねぇじゅんくん。ソックリさん見つけた。」
「え?なに?」
指差した先のガラス越しに見えたのは、黒猫のぬいぐるみ。
前足を揃えてお座りの格好をしたそのぬいぐるみは、何だかじゅんくんみたい。
でっかくてまぁるい目も、しゅっと伸びた背筋も、立てた尻尾の感じも、見れば見るほどじゅんくんみたい。
「似てる、・・・かな?」
首を捻りながらも、コインを入れて
そのぬいぐるみをあっという間にポケットに落としたじゅんくん。
「オレだと思って、毎晩抱いて寝ろよ。」
そう言いながらその黒猫をくれた。
短い毛並みは手触りが良くて、ホントにじゅんくんみたいで。
思わず頬にすりすりって当てたら気持ちいい。
「気に入った?」
そんな俺の仕草を見たからか、そう聞いてくるから。
・・・何だか恥ずかしくなった。
「かず、アレやんない?」
UFOキャッチャーが並ぶ通路を抜けると表れたのは、プリクラの機械が並ぶコーナー。
何人もの女の子が並んで待ってる。
返事をする間もなく腕を引かれて、
そのひとつ、1番人が少ない機種にふたりで並んだ。
周りの女の子がチラチラじゅんくんを見てる。
それが何か。
・・・なんか。
そんな気持ちを知られたくなくて、腕の中の黒猫の髭を撫でてみたり、尻尾を撫でてみたりして、誤魔化してた。
だけど、頭の少し上からじゅんくんの視線を感じる。
何も言わないで、俺を見てるじゅんくんは、何を感じてるんだろう。
自分の気持ちがバレるのが恥ずかしくて、じゅんくんがどんな顔して俺を見てるのかを見るのが恥ずかしくて、顔を上げられずにいた。
「かず、行くよ。」
並んだ時と同じに腕を引かれ、足元まである長いビニールの幕の切れ間ををすり抜けてふたりで入ったプリクラの機械の中。
その幕が外の音を遮断してけれるみたいで、さっきより少し静かだ。
「かず、設定やってよ。」
目の前の画面を見ながら手招きされる。
「なに?何か難しいの?」
「いっぱいあって迷う。どれがいい?」
じゅんくんの隣から画面を覗き込んで、どれでもいいんじゃない?なんて思って。
意外と迷うタイプなじゅんくんに代わって、適当に画面の中から選択していく。
「よし!これでOK!」
ふたりでならんで、シャッター音を待つ。
3・2・1・・・
「かず!変顔!!」
「うぇ!?」
いきなり振られて、それでもふたりで変顔をキメて。
「じゅんくん!いきなり過ぎる!!」
「あはは!いいじゃん!」
じゅんくんの腕をぽこんと殴ってたら、またカウントダウンが始まる。
3・2・1・・・
「にゃんこと一緒に!!」
「っはい!!」
お互いのほっぺの間に黒猫を挟んでもう1枚。
「ビックリした顔してる!」
「大丈夫、かずは可愛いよ。」
・・・そんな事言われたら返事に困るんだけど。
そんなオレに構わずに、今度は腰に腕を回して引き寄せてくるから、どんな顔したらいいかわからなくなる。
それでも、すぐ側のじゅんくんと顔を寄せてカウントダウンを待つ。
3・2・1・・・
「・・・かずの初めて、ちょうだい。」
「・・・は?」
何を言われたか一瞬わからなくて。
だけど、その瞬間を切り取られた顔は恥ずかしいくらいにマヌケな顔をしてた。