桜のした、きみと。7 | 潤いと和み。

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大丈夫な方のみ、お進みください♡



妄想blです。






お嫌いな方はスルーで。









桜並木を抜けて公園の裏手側まで来ると、
そこにあるのは一本の大きな桜の木。

「じゅんくん、ここだよ。」

ちっちゃい頃、花火大会で人混みが苦手になった俺の為に、父ちゃんと母ちゃんはいつもここで桜を見せてくれた。
だからだろうか。
肩車して、両手を繋いで通り抜ける桜並木よりも、この大きな木の方が俺には思い出深い。


忙しい仕事の合間を縫って俺の為に作ってくれた思い出の場所。
そんな大事な場所を、じゅんくんにも知って欲しかった。




「ホントに誰もいねぇな・・・。」

「やっぱり向こうの方が賑やかだからね。」

「でもオレ、こっちの方が好きだな。」

「じゃあ、ここでお花見で、いい?」

「もちろん!」


トートバッグから出したラウンドタオルを短く刈られた草むらの上に広げ、いつもの昼休みみたいにその上に向かい合って座る。


「かず、何作った?」

「じゅんくんは?」

じゅんくんの声がワクワクしてる。
きっと俺も同じ。
だから、いっせーの!で同時にお弁当の蓋を開けた。


「・・・それ、サンドウィッチ?!」

「・・・すげぇ、おいなりさん?」

お互いのお弁当箱を覗き込んで、そして自分のと見比べて。

いただきます!ってふたりで半分こした。


「あ、写真撮らなきゃ。母さんと姉ちゃんに言われてたんだった。」

バッグの中からスマホを取り出したじゅんくんが、サンドウィッチと俺を画面に収めてシャッターボタンを押す。

それから今度は、俺が作ったおいなりさんと自撮りして。

「・・・これでよし!さ、食べよっか。」

改めていただきますってして、お弁当に手を付けた。



いつもの昼休みとは違って、ゆっくりした時間の中で桜を眺めたり公園の方から聞こえる小さい子供の声を聞いたりしながら、少しずつお弁当を食べる。

食べるっていうより、楽しむって言葉が正しいのかも。

食べ慣れてるはずの唐揚げだったり肉巻きだったりなのに、それはいつもと違う味に感じて、それが何だか不思議だった。


「なんか、いつもより美味しい気がする・・・。」

「こんなにゆっくり食べる事って、なかなかないもんなー。」

そう言うと、ごろんと横になったじゅんくん。

「かーずー。食べさせてー。」

「お行儀悪いよ。」

「お花見なんだから、いいのー。」

そんな、理由になってないような事を言いながら立てた肘に頭を乗せてあーんって口を開ける。

だから、じゅんくんが1番好きなおかずを口に入れてあげた。

「ん、やっぱり美味い。」

にこって笑ってそう言うから、今度はまた違うおかずを口元に差し出す。

そうやって、ひとつひとつを楽しみながら食べて、結局キレイに完食した。




「姉ちゃんが、いちご大福作ってくれたんだけど。」

「・・・マジで?いちご大福って、家で作れるんだ。」

「オレも同じ事思った。」

「食べたい・・・でも、いまはむりー!!」

もうお腹ぱんぱんだ。

仰向けになったじゅんくんが、隣をぽんぽんって叩く。
言葉で言わなくてもわかる、おいでのサイン。
だから、お弁当箱を片付けて隅に寄せて、俺もじゅんくんの隣にゴロンと横になった。



「かず、寒くない?」

「うん、あったかくてちょうどいい。」

「・・・そこは、ちょっと寒いって言えよ。」


何で拗ねたみたいに言うの?って不思議に思ったら、ブランケットを取り出して、お腹の辺りにかけてくれた。

そのブランケットの下、きゅって手を繋ぐ。

そっか。こうしたかったんだ。
やっとわかったじゅんくんの拗ねたみたいな言葉の意味がいろいろ可愛くて。
そんなじゅんくんを、やっぱり好きだなぁって思った。



大きな桜の木が広げた枝で作る木陰の下、大好きなじゅんくんと寝転んで。
美味しいお弁当でお腹いっぱいだし。
つないだ手はあったかいし。


お気に入りのこの桜の木が、もっと大事な場所になった。
幸せな思い出がひとつ増えた。