妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
「・・・ホントは、怖いのかもしんない。」
零れてしまいそうな感情を抑えてグラスを煽ったオレの耳に、小さく呟くようなその声が聞こえた。
「怖いって、何が?」
今度はかずがグラスを煽る。
カランとぶつかる氷の音。
その氷を見つめて、指で回す。
「潤さ、すごくいい男になると思わない?」
疑問形で聞いてくるけど、その声には肯定しか認めないような自信があって。
「5年もしたらそれなりに仕事も出来てスーツも着こなしてるよ、きっと。」
相変わらず指で氷を弄りながら、ふふって笑いながら話すかず。
「そうなった時、潤がオレを選んだ事を後悔するかもしれない。それが、怖い・・・。」
未来を語るかず。
それは、その時まで側にいたいと願っているからだろ?
それなのに、その未来が怖いだなんて。
「そんなの、その時にならないとわかんないじゃん。今、好きだって気持ちの方が大事なんじゃねぇの?」
訪れるかどうかわからない未来に怯えて
その手を離すなんて、どうしてもオレには理解出来なかった。
「潤は、これからたくさんの出会いと経験を積んで大人になるんだ。その時、オレと過ごした時間を後悔する時が来たら。そうなってから手を離す方がツラいよ。オレが、耐えられない。」
乾いた笑いと吐き出すかずの思いが、さっきとは違う意味でオレの口を重くする。
「ねぇ、まーくん。なんでオレ潤と同じ歳じゃないんだろう・・・。」
「そんな事、言うな・・・。」
それじゃまるで、オレと過ごした時間を否定するみたいじゃないか。
かずの何気ない言葉に、酷く傷付いてしまう自分が悔しかった。
なんて言えば、かずの思いに応えられるのか。
長い長い片思い。
それでも、自分の気持ちを押し込めてこられたのは・・・。
それは、やっぱり愛だったから。