〖 秋嵐 〗~末ズ・前編~ | 潤いと和み。

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〖 秋嵐 〗






前編  『風雲』





・・・何・・・だっ・・・コレ・・・。


言葉を失った。
正確には、「言葉を失う」って事を身を以て経験した。

ライブの打ち合わせで見せられた映像。
かずの、1人リハの映像。

想像以上のモノで
予想を遥かに上回るクオリティで。
コレをオレらと合わせて、仕上げていく事を考えて、足の先から頭のてっぺんまで電気が駆け巡るような感覚を覚えた。




去年のリハは翔さんがいなかった。
今年はかず。

映画の番宣に伴った収録と生放送と取材にグラビア。
ありとあらゆる媒体を、俳優二宮和也が占拠していく。
その反動のように、既に始まっているライブのリハーサルに、かずの姿はなかった。

4人で進めるリハの風景を撮影して、かずに送る。
かずが一人でスタジオに籠る映像をオレがチェックして、頭の中で合成させる。

でも、この送られてきた映像がヤバい。

打ち合わせまでは5人だった。
そこからリハに入ってそれなりの修正が入って、その結果の4人リハの映像。
それを見てからの、コレだと思うと。


アイツの頭の中では、どんな事になっているのか。


全身に鳥肌が立つこの感覚を、もっとハッキリ捕まえたい。

「・・・ねぇ、今日ニノってどこにいるの?」

マネージャーに聞くけど、かずのスケジュールまでは把握してない。
当たり前だ。
だって、コイツはオレ付きなんだから。

それでも、かずの行方を知りたくて、スマホを取り出した。


『・・・電源ガ入ッテイナイタメ・・・』


「・・・ちっ!」

流れる音声に舌打ちして、それならばと
翔さんの名前をタップする。


何度かのコール音が響いて。

『はいよー。どした?潤。』

呑気な声の翔さん。
自分がオレにとっての最終手段である事を知らないからだけど。
そんな翔さんの言葉に被せるように早口で捲し立てた。

「翔さん!ニノ、どこにいるか知らない!?」
『え?ニノ?どうしたの?何かあった!?』
「いや、何かあったっちゃあったけど、無いっちゃ無いんだけど。とにかく、ニノを捕まえたいんだけど、居場所知らない!?」

上手く伝えられなくて、それでも情報が、欲しくて。

『ちょっと待ってろ。一旦切るぞ。』

オレの声で何かを感じ取ってくれたのか、翔さんが力強く応えてくれた。




翔さんからの折り返しを待つのももどかしくて、車のキーを手に会議室を出た。





飛び込むように乗り込んだ運転席。
ギアを入れ、アクセルを踏み込もうとした瞬間に、翔さんからのメッセージを受信したスマホが震えた。


『次の撮影まで今は空いてる時間のはず。ニノのマネを捕まえる方が早いかも。』



送られてきた映像に映っていたものは、
いつものリハで見せるニノの顔と全く違う顔。
インプットする時の、見慣れたあの鋭く険しい目とは違う顔。

アウトプットの為の、魅せる顔に、ヤラれた。
そして、映像の最後。
天に向けた手のひらからの人差し指をくいっと曲げる動き。
拾わない音の、その唇の動きで読み取ったニノからのメッセージ。


『bring it on』


かかってこい、か。

望むところだ。
後悔すんなよ?

答えを手にする自信は、ある。
それだけ長く一緒にいたんだから。


だから
限界ギリギリまでアクセルを踏み込んで、目指す場所へ向かった。

ニノのマネを捕まえて居場所を聞けば、次の収録の局にはまだ来ていないと。

じゃあ、どこにいる?

あの映像のメッセージ。

とんでもなく挑発的なそのメッセージ。
なのに、ダンスと醸し出す雰囲気は妖艶で誘うようで。

・・・引きずり込まれる。

それが第一印象だった。

何を思ってのアレなのか。
誰を思ってのアレなのか。

そして
『Bring it on』の意味するもの。


『オレが欲しけりゃ、かかってこいよ?』
オレは、そう受け取った。

ただ、それが誰に対してのメッセージなのか。
それを確かめたかった。

ファンのみんなへ?
それとも・・・





昔から努力する部分を見せたがらないかずが隠れる場所はそう多くない。
次の現場から考えて当たりをつけて。
その場所へと急ぐ。

パーキングに車を停めて、一応辺りを見渡してから車を降りて。
その場所へと走った。