お嫌いな方はスルーで。
暫く海外の仕事してくるから。
急に1人で来て、いきなりそんな報告をする。
「・・・は?なに?」
言ってる意味がわからなくて、聞き返す。
だってそうだろ?
オレの人生の中で、この天邪鬼な幼馴染みと離れるなんて事はありえない。
考えられない。
それくらい、ずっと一緒にいたんだから。
それこそオムツの時から。
だから、側にいるのは当たり前なんだ。
それなのに・・・。
「・・・潤には言ったの?」
自分の気持ちを誤魔化すために、潤の名前を出した。
「まだ言ってない。」
グラスを傾けるその顔は、その目は、もう決めているそれで。
きっと今から何を言ってもきっとこいつは変えられない。
それでも、もしかしたら潤なら違うんじゃないのかと期待した。
それっきり。
どうなったとも言わなくなったかずに痺れを切らして、オレから尋ねた。
「ねぇ、いつから行くの?」
「春か、その少し前かな。」
やっぱり決めてしまったか。
希望の欠片はあっけなく粉々になった。
それでも、潤の存在がかずを引き留めるだろう。
「そっか・・・でも、潤が待ってるからちょくちょく帰って来るんだろ?」
きっと離れてなんていられないから。
この二人はそれくらい、お互いを思い合ってる。
それなのに。
「・・・終わらせたから。」
「・・・何、それ。」
「・・・もう会わない。」
あまりにも簡単に言うから、次の言葉が出てこなくなる。
なんで?
どうして?
そんな簡単に終われるのなら
オレの気持ちの行き場はどこ・・・?
何度もぶつけてしまいそうになる思いに
必死に蓋をし続けて
かずの幸せだけを願ってきた
オレの思いは・・・?
溢れそうな言葉を、噛んだ唇で押し留めた。