妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
かずって面食いだったっけ?
思わず過去の記憶を辿るくらい、店に現れたその子は綺麗な子だった。
ひと回りも年下の、所謂教え子。
そんな相手にあんなに酔い潰れるくらい
翻弄されてるかずが、何だか悔しかった。
どうしてわざわざそんな相手を・・・
喉元まで出かかった言葉を飲み込んだのは
一度や二度じゃない。
それでも、コイツの事を話すかずは
すごく幸せそうに笑うから。
飲み込まざるを得なかった、っていうのが正しい。
その後の二人に何があったのか。
聞かなくてもわかった。
見てればわかる。
かずが、潤を呼ぶその声でわかる。
すごく愛しそうに。愛おしそうに。
唇から零れるその名前ですら愛を纏わせるから。
2人でよく店に飲みにくるようになって、
オレと潤も少しずつ打ち解けてきた。
3人で他愛のない話をして楽しい時間を過ごすけど、2人が連れ立って帰っていけば
残されるのはオレ1人。
かずが選んだ人だから。
そう、自分で自分を納得させた。
かずの腕に、ゴツいバングルが嵌められるようになって暫くして。
一人で来た時には、飲みながらそっとそれを愛おしそうに撫でる姿をよく目にするようになった。
愛おしそうに、だけど、少し淋しげに。
潤のものだと一目でわかるデザインだったから、会えない淋しさからそうするのかと思っていた。
「かず、幸せ?」
聞けば、はにかんで笑う。
笑うだけで、否定も肯定もしない。
今思えば、きっとこの頃から
ゆっくりと準備をしていたのだろう。
その手を離す時を、覚悟していたのだろう。