お嫌いな方はスルーで。
じゅんくんの自転車に二人乗りして
いつもと違う道を走る。
「かず、緊張してるー?」
「・・・少し。」
「手が、強ばってるよ。」
だって。
「しょうがないじゃん。初めてなんだもん。」
「大丈夫だよー。」
じゅんくんはそう言って笑うけど。
だって。
やっぱ、さ?
ドキドキするよね。
変な事言っちゃったらどうしようとか。
きっと、オレとじゅんくんの事は知らないだろうから、ちゃんと友達にみえるようにしなきゃとか。
ちゃんと出来るかな、とか・・・。
そんな心配ばかりしてしまう。
それなのに、じゅんくんはいつもと変わらない様子で。
それが何か・・・
何か・・・
なんか・・・さ?
自転車が、キッと停まって。
じゅんくんの家に着いてしまった。
「はい、とうちゃくー!」
「はーい。ありがとう。」
玄関脇に自転車を停めるじゅんくんを待って、
一緒に玄関に入った。
「母さーん。かず来たよー!」
奥に向かって大きな声を掛けるじゅんくん。
はーい!って返事が聞こえたと思ったら、正面のドアが開いてじゅんくんのお母さんが顔を出した。
「かずくーん♡」
両手を広げて小走りで出てきたじゅんくんのお母さん。
「あ、こんにちわ。」
緊張しながらも挨拶をすると、広げた両手でハグされそうになった。
その手をじゅんくんが掴んで。
ハグしようとするのを阻止してる。
「母さん、やめろ。かずが怖がるから。」
「だって、ずーっと来てくれるの待ってたんだもん♡かずくん、いらっしゃい♡」
二人の姿がおかしくて、何か少し笑えた。
「お邪魔します。」
靴を脱いで、出してくれたスリッパを履いて。
じゅんくんのお母さんがどうぞー♡ってリビングへ通してくれた。