妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
パジャマと着替えと。
月曜提出の課題もベッドの上にならべて。
あ、歯ブラシも。
持って行くものを一度ベッドに並べて、忘れ物がないか確認してから、バッグに詰めていく。
お泊まり当日の今日。
緊張であまり眠れなかった。
あと何時間か後にはじゅんくんが迎えに来てくれる。
「母ちゃん、新しい歯ブラシどこ?」
リビングでお楽しみタイム満喫中の母ちゃんに声を掛けた。
「洗面台のいつものトコにあるわよー。」
テレビの前のソファから、こっちを振り返りもせず答えた母ちゃん。
洗面台から新しい歯ブラシを取って、2階に上がろうとリビングを通り抜けようとしたら。
「ちゃんと勝負パンツ持って行きなさいよー。」
・・・もう、なんなの?
「ねぇ、母ちゃん。それどうゆう意味?」
からかわれてるとしか思えなくて、面白がられてるとしか思えなくて。
「いつものヨレヨレなパンツじゃ、恥ずかしいじゃない。」
にっこり笑って、そう言われたけど。
その言葉どおりなら、きっと引っかかることもないのだろうけど。
オレが、やっぱり少し期待してるからイヤラシイ意味に聞こえちゃうのかな。
「・・・わかった。」
あまり深く考え過ぎないように。
そう答えて、自分の部屋に入った。
初めてのじゅんくんのお家。
お母さんには一度会ったけど。
お姉さんは初めてで。
最初は緊張しかなかった。
だけど、やっぱり朝までじゅんくんと一緒にいられることの方が嬉しくて。
何もしなくても、ぎゅって抱っこしてくれたらそれだけでいいやって思えた。
スマホがポンって鳴って、じゅんくんからのメッセージを受信した。
『今から迎えに行くよ。準備出来てる?』
読んで、心臓がまたドキドキしてきた。
『出来てる。待ってるね。』
そう返信して、荷物を持ってリビングに降りた。
相変わらずお楽しみタイム満喫中の母ちゃん。
「そろそろじゅんくん来るって。」
「キッチンに置いてる箱、お土産に持って行ってね。」
キッチンを見ると、母ちゃんの好きなたい焼き屋さんのプリントされた箱があった。
「これ、たい焼き?」
「そう。潤ママも好きって言ってたから。おやつに食べてね。」
「ありがとう。」
そんなやりとりをしてると、インターホンが鳴った。
「かず、忘れ物ない?」
「大丈夫。これ、自転車のカゴに入れていい?」
母ちゃんから持って行くように言われたたい焼きの箱をじゅんくんに渡す。
「あ、これ!」
「おやつにって。」
「おばさん、ありがとう!オレもここのたい焼き好きなんだ!」
「みんなで食べてね♡」
手を振る母ちゃんに、行ってくるって応えて、玄関を開けようとしたら。
「かず、潤くん。」
母ちゃんが呼び止めた。
「なに?」
じっとオレ達を見つめる母ちゃん。
小さく笑って、一言、
「そんなに急いで大人にならないでね。」
その言葉に何て返事したらいいのかわからなくて。
とりあえず、うんって返事して。
玄関を開けた。