妄想blです。
お嫌いな方はスルーで。
「・・・今、何時?」
「6時20分!ヤバい!!あと10分じゃ学校着かない!」
焦るオレは何から手を付けたらいいのかパニックで。
とりあえずバタバタと階下に降りて顔を洗って歯磨きして。
弁当を作ってる母ちゃんに何で起こしてくれないんだよー!!って叫ぶ。
叫びながらまた急いで部屋に戻って制服に着替えて。
「かず、ジャージで行けよ。荷物はオレが持って行くから、とりあえずそのまま学校行け。」
落ち着いた声でじゅんくんに言われて、少し冷静になる。
「・・・うん。じゃあお願いします。」
カバンをじゅんくんに預けて、首にタオルを巻いて。
もう遅れるのは確実だと思ったら、何か益々冷静になった。
「朝ごはん、持って行くから設置終わって一緒に食べよ!」
じゅんくんがぎゅって抱き締めてくれて。
「かず、行っておいで。」
ちゅってキスして送り出してくれた。
玄関で見送るじゅんくんに手を振って。
「じゃあ、行ってきます。」
って玄関を開けた。
「あ、かず。オレの自転車使っていいよ。」
そう言われて、有難く借りて。
結局5分くらいの遅刻で済んだ。
それぞれのチームが、描いた看板を設置していく。
その中で、俺たちの看板は異色だった。
だからこそ、目立っていた。
「・・・やっぱ、カッコイイ。」
思わず零れた言葉に、隣にいた先輩達が腕組みして誇らしげな顔をしていた。
「かーずー!ご飯ー!!」
じゅんくんの声に振り向けば、小さなトートバッグを手にしてオレに手を振るじゅんくんがいた。
「今行くー!」
設置作業は無事に済んで、その看板の出来栄えに見入っていた時間だったからそう返事をした。
「じゅんくん、ありがとう。」
「ん。つーか、看板すげぇな。」
「ふふ。カッコイイでしょ!?」
「うん!」
見上げるじゅんくんは小さく口が空いていて、ちっちゃな子供みたいで。
その反応が、本当にすごいって思ってくれてるってわかるから、嬉しくなる。
そのまま応援席に2人で並んで座って、じゅんくんが持って来てくれた朝ごはん代わりのおにぎりを食べた。
開会式までもう少し。
着替えを済ませたみんなは外に出て、写真撮ったりしてて。
教室には、オレとじゅんくんだけになった。
学ランの下にタンクトップを着て。
じゅんくんの学ランに袖を通す。
じゅんくんが結いてくれたハチマキは、結構な長さだったから1人じゃきっと出来なくて。
甘えてじゅんくんにしてもらった。
じゅんくんは長い法被だから、その下にはサラシを巻く。
手伝って、ぎゅっと締め上げて。
「じゅんくん、苦しくない?」
「ん、大丈夫。」
法被の襟を持って、じゅんくんの腕に通して。
少し伸びた髪が邪魔だろうから、母ちゃんに教えてもらったポンパドゥールを作ってあげて、ピンで崩れないように留めた。
ハチマキをおでこに宛てて、後ろでむすんであげて。
前に回ってその出来上がりを確かめる。
「・・・じゅんくん。」
「ん?なに?似合わない?」
「・・・カッコよすぎる。」
「マジで?ふふ。オレ、モテちゃう?」
「女子の反応が手に取るようにわかる。それくらい、カッコイイよ。」
「かずがヤキモチ妬いちゃうな。」
そう言って笑うけど、冗談にならないよ。
「かず。ぎゅってして。」
返事の代わりにじゅんくんの背中に腕を回した。
「頑張ろうな。」
「うん。頑張ろうね。」
体を離して、ふふって笑いあって。
「あ、そうだ。」
そう言ったじゅんくんが、いきなりオレの着ている学ランの襟元を開いて。
タンクトップをズラした肩の辺りを指で撫でた。
「昨夜の、ちゃんと着いてる。」
「なにが?」
「お守り。オレが付けたシルシ。」
じゅんくんが撫でたそこにあったのは、紅い痣。
「これ、なに?」
「キスマーク。オレのモノってシルシ。」
イタズラっ子みたいに笑うじゅんくん。
だけど。
「オレ、上脱げないじゃん!!」
「大丈夫だって。タンクトップで隠れて見えないよ。」
もう!って怒ったのはフリだけで、ホントはスゴく嬉しかった。
じゅんくんと一緒に飛べる。
そんな気がしていた。
2人で教室を出て、グラウンドに向かう。
すれ違う女子が、じゅんくんを見てキャーキャー言ってる。
「あ、かず。袖捲っとけよ。」
「・・・なんで?」
「萌え袖って知ってる?かずの可愛さが増増になるから、捲っとけ。」
あんまり意味がわからなくて、思わず首を傾げたら、じゅんくんが2つ3つと袖を折ってくれた。
「・・・くそ!これでも可愛さ増増じゃねーか!」
「じゅんくん、落ち着こう?」
萌え袖よりかはいくらかマシだなって独り言のように言ったじゅんくんだけど、オレには最後まで意味がわからなかった。