緑の窓の内側でただ佇んでいるだけでも、その光は僕を包み込んでくれそうだった。
そこへ、君が大声を上げて怒鳴り込んでくる。
「あなたは何をしたの!一体なんて事をしてくれたの!」
僕は悲鳴を上げそうになりながら、彼女の手のひらの中にある赤い塊を見つめる。
「もうダメだ、終わった事なんだよ、君も、僕も、悪くない…」
しかし、その赤い塊は動き始める、脈を打ち始める。ドクッドクッ…。僕は、
「もうダメだ!」
そう一声叫ぶと窓から飛び降りた。


萌黄色の鮮やかな草原の中にピンク色の服を着た女性が立っている。
風はそよぎ、彼女の麦わら帽子を揺らす。
「こっちへおいで。こっちへおいで」
僕は彼女のもとへ歩き出す。
と、とたんに草原は片っ端から下の方へ底抜けに落下していき、まだ彼女のもとへ近づけない僕と彼女だけが真っ暗闇にぼんやりと浮き彫りになった。
「あなたはこの世へ生まれて来たの、ただ、まだ少し早かったのね、少し、それじゃあ、苦しいわね」


ドアは開けっ放しだった。ギィと鳴るドアをそっとあけると、赤ん坊が下に転がっていた。
(誰が?なんで?)
(私が)
(え?)
赤ん坊は泣き続けている。奥の間にも誰もいないらしい。そっと赤ん坊を抱き上げると、温かい体温が伝わってくる。
(私が)
(君が?)
(私が生んだの…)
抱き上げていた赤ん坊は、見る見る間に老けていき、泣く声もそれと同時にしゃがれ、泣き止むと同時に息を引き取った。