傀儡の夢⑥ | ざこねぐら

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ゆっくり枯れていく

 

「ここが最後の部屋……っていうか、行き止まりのどん詰まりの終着点さね」

 

校舎3階、廊下の一番奥の教室の扉の前で、探索者たちは息を整えていた。

閉じ込められた校舎は、本来の世界の校舎と作りは同じようだった。

空間的な軸がずらされているよりも、時間的な軸がずらされているのかもしれない。

その証拠に、新しさこそないものの、放置され老朽化したような、廃墟染みた

空気は、探索中にはあまり感じなかった。

 

有益な情報は、それなりに拾い上げてきた。

おそらく、ヨツハと名乗った私の後ろに控えている少女は、この学校に在学していた。

 

敵か、味方かは、分からない。

 

薮蛇は避けたほうがよい、と私以外に気付いた人もいるだろうが、誰も彼女を問いただす

ようなことはしなかった。

 

「準備がよければ、入りましょうか。もう完全にラスボス戦って感じですけど」

 

探索者の1人が、全員を見渡し、それぞれの状態を確認する。

体力の消耗こそあるものの、全員正気を保ち、応急処置も済ませ、

”一戦交える”準備はいいようだった。

 

「あの……すみません」

 

ヨツハが弱弱しく呟く。

見れば、自分の身体を抱くようにして、身を震わせている。

 

「なんだか、とても、怖くて……誰か、手を繋いでくださいませんか?」

 

てを、つなぐ?

敵か味方か、判別つかないやつと?

逃げ場のない場所で?

 

コイツハナニヲイッテイルンダ?

 

「はいはい!ヨツハちゃーん!俺でよければ繋ぐよー!むしろ繋いでー!」

 

探索者の1人のお調子者が、ヨツハの手をとってニコニコしている。

ヨツハは始め面食らったものの、安心したように、満足そうに微笑みを浮かべた。

 

「……準備、できたな。いくぞ」

 

ため息をついてから、扉に手をかけた。

願わくば、お調子者に幸あれ。