米国編
まず表紙の摩天楼に圧倒される。エンパイアステートビルとクライスラービルがそびえ立ち、遠くには今はなきワールドトレードセンターのツインタワー、アメリカ横断ウルトラクイズでお馴染みのパンナムビルもある。遠くにブルックリン橋?と思ったら、隣にナイアガラの滝(これは異次元…)
本編は西海岸からのスタート…犬ぞり、フラダンス、ゴールデンゲートブリッジ、ネイティブアメリカン、石油採掘、モニュメントバレー、シェーン、駅馬車、トムソーヤーの冒険、カウボーイ、幌馬車、ライト兄弟、サンタクロース、OK牧場の決闘、セサミストリート、ニューオリンズジャズ、野外ボクシング、野球、外輪船、独立記念館、自由の鐘、国連本部ビル、マリリンモンロー、ワシントン、ベンジャミンフランクリン、リンカーン、キング牧師、ケネディ、アインシュタイン、エジソン、ウエストサイド物語、国会議事堂、硫黄島、オズの魔法使い…などなど。気づいてないものがこの何倍もあると思われるが…
圧巻はセントラルパーク。木々に無数の動物の隠し絵、地面に合衆国の地図の隠し絵(アラスカまである)など執念の書き込み。
さるに注意深く読み込むと…前ページと群衆のアングルが合わせてあったり、エッシャー的な四次元ひん曲げの騙し絵の技がさりげなく駆使されていたりと、仕掛けが盛りだくさんすぎる。
果たして完成までにどれだけの労力と時間をかけたのか空恐ろしくなるが…これが安野光雅の絶頂期、到達点の作品の一つといえると思う。

