デビューアルバム。このとき中島さんは24歳。ジャケットは引きのアングルで、裏表紙もこの薄倖そうな表情。売れる要素は全く感じられないが…
しかししかし…シンプルなアレンジながら歌声は本当に素晴らしい。ただわざとなのか、たまたまなのか、曲ごとに歌い方や声質はまちまちでそれぞれが別人のようなテイスト。各曲の世界観も独特で、基本的には恋の歌ながら、歌詞をよく聞くと、どういう心情・風景を描いているのか今ひとつつかみづらく、一人称でも三人称的というか、なんとなく空中を漂っているような…特に冒頭の「あぶな坂」はいったいどういうシチュエーションを歌っているのか、何かの比喩なのか、なんでこの曲を一曲目にしたのか、様々謎は多い…
世界歌謡祭でグランプリをとった「時代」がトリだが(アコースティックギターのみのシンプルな伴奏で数あるバージョンの中でこれが一番好き)、その二つ前の「歌をあなたに」も好き。この曲が特に良いが、どの曲も本人によるコーラスが独特の節回しで響きが美しい。

