「バカリズム」は元々はコンビ名で、実質的に解散した際、新たなピン芸人名を付けることはせず、相方が脱退した体で、コンビ名で活動を継続することにしたらしい(ビビる大木、カンニング竹山、ゲッターズ飯田とはちょっと違うか…)
すっかりマルチタレントの風情が漂うバカリズム氏だが、初めて見たのは2006年度「R-1ぐらんぷり」の伝説のネタ「トツギーノ」。いわゆるフリップ芸だが、語り・構成も巧みながら驚かされたのはそのイラストの腕。強烈なインパクトだったが、残念ながら優勝は逃した(昨年から審査員を務めてはいるが…)。おおいに話題となった「トツギーノ」だったが、バカリズム氏の凄みはこの「トツギーノ」そのもの(権利・商標?)を第三者に売っ払ってしまったこと。退路を断ち、敢えてリスクを取ったことが「一発屋」にならなかった最大の要因かも。
数あるネタでも大好きなのが「地理バカ先生」。とある県のプロフィールを紹介した後、「あと持つとしたらここですね」とやるアレ。このイラストのクオリティも凄まじかった(47都道府県全てを網羅した本も出版されている)。
芸人としてのステージを一段上げるきっかけになったのはおそらくは「IPPONグランプリ」での活躍。番組が始まったばかりの頃、次々と答を繰り出していく様は凄まじく、主催の松本人志を唸らせていた。「IPPONグランプリ」自体はお笑い猛者達が集う番組となり、バカリズム氏もサドンデスで負けたりと常勝というわけにはいかなくなってきたが、勇退することなく番組に出続けている。
芸歴を重ねる中で、「見せる」側からMC的な「見る」側の立ち位置の仕事も増えてきてはいるものの、ネタを創り続け、単独ライブも継続している。「生涯一演者」の立場を崩していないのは本当にリスペクト。
最近チェックしているのは月一フジテレビOneで放送されている「超H」。自身でも語っていたが、放送できるギリギリのところで成立させているのは、共演している堂島孝平氏との「品の良さ」だと思う。「エピソード0」での会話の引き出し術も見事だが、後半の大喜利タイムもいい感じで肩の力が抜けていて面白い。
そして遂に見たWOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」(バカリズム脚本・主演)。なかなかどこにも映像が落ちてなくて、半ば諦めていたところ偶然ファミリー劇場での一挙放送を発見。期待以上の出来で大満足。このテンポ感の内容をじっくり時間を取り、しっかりとした映像で予算もかけて作り込んでいる感じがたまらん。次なる企みに期待。




