この作品(朝日新聞の連載)をリアルタイムで読んだのは自慢(1991年10月〜1992年3月)。まだインターネットが存在していない時代に、連載で読者と双方向通信をやってのけていた。投書や当時の「パソコン通信」で読者の声を拾い、ストーリーに反映させたり、作品に批判的な声に対しては徹底的に反論し、バッサバッサと切り捨てていくシーンがあったりと最先端の文学を展開していたのだ(後にも先にもこんなことをしてる人を見たことがない)。真鍋博の挿絵も絶妙(筒井の似顔絵もちょうどいい)。こんなに熱心に新聞小説を読んだのは「失楽園」とこれしかない。
