泡坂妻夫1 | Review

Review

エンターテイメント評論(本、映像、音楽、お笑い…)



泡坂のデビュー作がシリーズ化した3巻の短編集。一作一作も珠玉の作品が並ぶが、共通の登場人物に意味付けをし(有栖川有栖が絶賛)、脇の人物同士にも関係性を持たせ、さらには主人公自身の正体を最終話で明かしフィナーレを迎えるという、まさに魔術師のなせる技。


細かいポイントではあるが、登場人物のネーミングも巧み(亜さん、井伊さん、上岡菊さん。亜さん、阿佐さん、朝日さん、旭名さん、浅日向さん、麻雛壇駅、など)。最終話の三つ前の話で不自然な苗字の人が出てきたなと思っていたら、その兄を最終話に登場させ、その名前を回文で使う、など相当手が込んでいる。


ミステリーファン必読の書。