29話:想いと未来と…


二人は腹ごしらえをすませ、家に帰る事にした。

二人はいつも通り、星の話題で盛り上がる。

あっという間に家の前に着く。

『今日はホンマにありがとう!!』
と美優紀がペコリと頭を下げた。

『おぅ、じゃあまた夜に…』
と俺が家に入ろうとすると、美優紀が
『今日、赤坂さん居るん…??』
と聞いてくる。

『多分、どこにも行ってないと思うけど…?』
と答えた。

『赤坂さん呼んでくれへんかな…ちょっと話したいねん…』
と美優紀は言った。

『うん…わかった』
と言って、家に入り、リビングに行くと結がいた

結は俺に気づくと
『あっ…陽ちゃんおかえり…』
と小さな声で言った。

俺は『結、玄関のところで、古川が待ってるんだ、話したいって』と言うと結は
『えっ?話?私に?うん…わかった、行ってくる…』
と玄関に向かい、外に出た。

俺は聞いてはいけないと思いつつ、気になり、玄関の内側で聞き耳をたてていた。

結が
『古川さん…話って…?』
と小さな声で言う。

すると美優紀は
『赤坂さん…ごめんな…』
と謝った。

結は
『えっ…急に、どうしたの?』
と驚いた様子。

美優紀は
『いや、なんて言うていいか、わからへんけど…幸せになってな!!素敵な星の王子様と』
と結の瞳を見つめて言った。
結はイマイチ状況がのみきれず、呆然としている様子だった

美優紀はそれ以上は何も告げずに
『ほな、また明日』
と言って家に帰った。

結が家に入ってくる音がしたので、急いでリビングに向かう。

リビングに二人。
しばしの沈黙が続く。

俺はその沈黙を破るように
『古川さ、火曜日にはいなくなっちゃうんだ…』
と言った。

結はびっくりした表情でこちらを見ている。

『家族みんなでドイツに行かなきゃならないんだって
よ…』

結は
『そうだったんだ…陽ちゃんに伝えたかった話って、それだったんだ…寂しくなるね…』
と呟いた。

俺は
『うん…そうだな…』
と小さく言った。

またもやしばしの沈黙。

すると結が
『あのね…さっき古川さんに【幸せになって】って言われたの…どういう意味なのかな…??陽ちゃん古川さんになにか言ったの?』
と疑問を問い掛ける。

『その話なんだけど…』

-続-