予定より早く出てきた私に母は戸惑っていたと思います。


個室に入り看護師さん達が慌ただしくしていました。

しばらくは絶対安静。
お手洗いの時は看護師さんを必ず呼ぶ事。



先生からの説明を受けたであろう母は私には会わずに帰って行ったようでした。



翌日病室へきた母から

「産むのであればもう親子の縁は切るから今後は好きにしなさい。」

そう言われ帰って行きました。




その日から叔母達が病院へきては

「赤ちゃんの事は諦めなさい。」

そう何度も言いにきました。



結婚ができないとなってから悪阻と重なり食事が思うように摂れなくなっていた私。


更に食事が摂れなくなり、見兼ねた病院側が面会謝絶の措置を取って下さいました。



毎日何度も看護師さん達が赤ちゃんの心音を聞かせて下さいました。

赤ちゃん頑張ってるよ!だから頑張ろうと励ましてくれましたが、親から縁を切られ今後どうしたらいいのか、やっぱり親に従うべきなのではないか色々な事を考えていました。



そんな私に助産師さんから話がありました。



「あなたを養子に迎えようと思っているの。」



思いもしなかった言葉にとてもビックリしました。



助産師さんは更に続け、



「家族にも相談してあなたを養子に迎える事賛成してくれてるから安心して赤ちゃんを産みなさい。お金の心配も産んだ後の生活も何も心配しなくていいからね。」



そう言って下さいました。



私の祖母くらいの年齢の助産師さん。

ほんの数ヶ月前に会ったばかりの多数いる妊婦さんの一人にすぎない私にそう言って下さいました。



とても申し訳ない、、そう思いました。




今思えば、ただの私のわがままだったと思います。
子供を産むこと、子供を育てること、育てて行く中でどれだけのお金がかかりどれだけ責任の重いことなのか全くわかっていなかったと思います。






一ヶ月程入院し赤ちゃんも私も安定しそろそろ退院の話が出た頃、母が病院へ来ました。



ぎこちない世間話しを少し交わし、私は母に謝りました。

父と私の間で板挟みにしてしまっている事。
親の言うことを聞かずわがままを通している事。



母は泣きながら

「やっぱり、あなたを捨てる事は出来ない。お母さんがお腹を痛めて産んだ娘だから見捨てる事はできない。」


そう言われました。



助産師さんが心配し病室へ入って来られ、母の気持ちを聞くと助産師さんも涙ぐんでいました。



「良かったね。お母さんはやっぱりお母さんだね。母親が自分の娘を見捨てられる訳ないものね。」



そう仰っていました。



母が父を説得するという事になりましたが、実家にすぐ帰る訳にも行かず、両親共通の友人で私も小さい頃から知っている女性の所へしばらく預けられる事になりました。



→続く。