カラヤンの指輪が1枚に!

ハイレゾで音質向上!

 

 

 

 

 日本オーディオ協会ではハイレゾを「96kHz/24bit以上」と定義している。96kHzサンプリングの音源なら48kHzまでの高音を、192kHzなら96kHzまでの高音を記録しているという意味だ。楽器がそんな高い音を出せるのかと思うかもしれないが、複数の楽器が出す音は共鳴して倍音を発生させるので、少なくとも48kHzぐらいには達している。24bitというのは音の強弱のきめ細かさ(量子化ビット数)を示し、CDの16bitよりも原音(アナログ)に近い高精細な情報を記録しているという意味だ。情報量は多いに越したことはないが192kHzでサンプリングしても96kHzまで再生できる装置をお持ちの方は多分ごく一部なので、96kHz/24bitがハイレゾの目安になる。

 さて、このカラヤンの指輪はDGがDECCAのショルティの指輪に対抗して1966年~1969年に制作したもので、カラヤンがDGに初めて録音したオペラだった。でもLPの売れゆきはDECCAの圧勝だった。DGは1972年のオペレッタ(メリー・ウィドウ)を除けば1979年のトスカまでカラヤンのオペラを全く制作しなかったのでそのショックのほどが伺える。

 だが今聞き返すとどうだろう? ショルティ盤はプロデューサーのカルショーが様々な効果音を重ねて物語を分かりやすくしているが、今にして聴くと少々大げさで騒々しい感じもする。しかもLPがヒットした分マスターテープを酷使してしまったので経年劣化が激しく、ショルティの指輪のブルーレイ・オーディオ盤は2012年リマスターと書いてあるが実際の音源は1997年のリマスター時に作成してあった48kHz/24bitのものだ。エソテリックのSACD盤もこの1997年のマスターをDSD化(PCMからDSDにD/D変換?)したもの、一方でステレオサウンドのSACD盤はかつてDECCAの国内販売権を持っていたキングレコードがアナログ時代に作成したダビングテープを借りてDSD化したそうだ。

 これに対してカラヤン盤のブルーレイ・オーディオはオリジナルのマスターテープから96kHz/24bitでリマスターしてあるせいもあり自然な音の広がりで、派手さはないものの結構良い感じだ。CDとちょっと印象が変わった。それでも「ヤノヴィッツのジークリンデはやっぱり違和感あるなあ」とか思っているが、カラヤンの指輪がハイレゾで1枚で聞けるようになったことを喜びたい

楽劇『ラインの黄金』
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(ヴォータン)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、ジョゼフィン・ヴィージー(フリッカ)、ゲルハルト・シュトルツェ(ローゲ)、エルヴィン・ヴォールファールト(ミーメ)、マルッティ・タルヴェラ(ファゾルト)、カール・リッダーブッシュ(ファフナー)、オラリア・ドミンゲス(エルダ)、ロバート・カーンズ(ドンナー)、ドナルド・グローブ(フロー)、シモーネ・マンゲルスドルフ(フライア)、他

楽劇『ヴァルキューレ』
レジーヌ・クレスパン(ブリュンヒルデ)、トーマス・ステュアート(ヴォータン)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ジークリンデ)、ジョン・ヴィッカーズ(ジークムント)、マルッティ・タルヴェラ(フンディング)、ジョゼフィン・ヴィージー(フリッカ)、他

楽劇『ジークフリート』
ジェス・トーマス(ジークフリート)、トーマス・ステュアート(さすらい人)、ゲルハルト・シュトルツェ(ミーメ)、ヘルガ・デルネシュ(ブリュンヒルデ)、カール・リッダーブッシュ(ファフナー)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、オラリア・ドミンゲス(エルダ)、キャサリン・ゲイヤー(森の小鳥)

楽劇『神々の黄昏』
ヘルガ・デルネシュ(ブリュンヒルデ)、ヘルゲ・ブリリオート(ジークフリート)、カール・リッダーブッシュ(ハーゲン)、ゾルターン・ケレメン(アルベリヒ)、トーマス・ステュアート(グンター)、グンドゥラ・ヤノヴィッツ(グートルーネ)、クリスタ・ルートヴィヒ(ヴァルトラウテ)、他

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

録音:1966年8、9、12月(ヴァルキューレ)、1967年12月(ラインの黄金)、1968年12月、1969年2月(ジークフリート)、1969年10、12月、1970年1月(神々の黄昏) ベルリン イエス・キリスト教会