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フランツ・グルントへーバー (オランダ人)
ヒルデガルト・ベーレンス (ゼンタ)
マッティ・サルミネン(ダーラント)
ライモン・シキエ(エリック)
アニタ・ヴェルキ(マリー)
指揮:レイフ・セーゲルスタム
管弦楽:サヴォリンナ・オペラ祭管弦楽団
演出:イルッカ・ベックマン
収録:1989年

 

http://www.youtube.com/results?search_query=Holl%C3%A4nder+Savonlinna

 

このサヴォリンナの映像はLD時代に国内でも出ていたが見たことがなかった。偶然ユーチューブで見かけてなかなか良かったので輸入盤DVDを入手した。なるほどなかなか良い。ブリュンヒルデにしてはスリムなベーレンスの声はむしろゼンタの方が合っているのではないか。ベーレンスのワーグナーの映像は以前紹介したトリスタンのテレビ放送を除いて、正規発売されたものは指輪(ブリュンヒルデ)が2種類とこのオランダ人だけだと思う。画質音質もまずまず安定はしていて鑑賞の妨げにはならない。
(追記:画質は悪いがユーチューブで1980年のパリでのオランダ人も見つけた)指揮はヴァルビーゾ
http://www.youtube.com/watch?v=MKDAcEUL3LU
http://www.youtube.com/watch?v=_i6pNK7B8D0

グルントヘーパーとサルミネンもなかなかでベックマンの演出はクプファーのような強烈な個性はないが楽しめた。屋外劇場のハンデは感じなかったがテレビ演出用のイメージ画像がところどころ挿入されるのは好き嫌いが分かれるだろう。むしろ驚いたのは1幕の後で休憩が入っていることだ。屋外劇場では2回の舞台転換を瞬時にはこなせないのだろう。

カラヤンも80年代になってアーヘン時代の1937年以来2度目のオランダ人に取り組んだが、下記サイトによるとHuntの演奏史にはこの時の舞台での演奏はCD録音と異なってTwo separates performances だったそうだ。これは恐らく1幕の後に舞台転換のための休憩を入れたのだろう。オランダ人が日本で頻繁に演奏されるようになったのは90年代からだが、休憩ありのオランダ人は80年代までは結構普通にあったようだ。
http://www.geocities.co.jp/MusicHall-Horn/2889/Hollaender.html

 

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オランダ人 ロバート・ヘイル
ダーラント クルト・リドル
ゼンタ ヒルデガルト・ベーレンス
エリック ヨゼフ・プロチュカ
マリー イリス・フェルミリオン
舵取り ウヴェ・ハイルマン
指揮者 クリストフ・フォン・ドホナーニ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1991年 ウィーン・コンツェルトハウス

 

 


さて、ベーレンスにはオランダ人のCD録音もあるはずと思って現在は廃盤中のこのCDを聞いてみたら何と3幕版(序奏付)の演奏なのでもっとびっくりした。だが序曲は救済ありの1860年改訂版という何とも変わった構成だ。こういう重要な事実があまり伝えられていないのは不思議だ。3幕版のスタジオ録音はクレンペラー以来か? 私は全く知らなかった。ウイーンで以前演奏されていたプロダクションは1幕の後に休憩が入ったそうだが、ウイーンのオランダ人は休憩ありが普通だったのだろうか?

肝心の演奏だが、何かしまりがなく盛り上がらない。ちょっと期待はずれだ。半年以上かけて録音されたスタジオであるにも関わらずベーレンスの調子は明らかにサヴォリンナのライブの方が良いと思う。ベーレンスは好調時とそうでない時の幅が意外と大きい人だったのかもしれない。

なお写真は1997年のPeralada音楽祭のものだそうだ。キャリアの後期までゼンタをレパートリーに入れていたようだ。衣装はサヴォリンナとよく似ている。同じ演出か? あるいは自前の衣装か?

(追記)

またベーレンスは1992年と1994年にはメットでエヴァーディング演出のオランダ人にも出演している。これはテレビ中継はなかったようだが録音が残っていてメットがパソコン向けに提供している映像配信サービスMetOnDemandに契約すれば聞けるようだ。
http://archives.metoperafamily.org/Imgs/Hollander9192.htm
http://archives.metoperafamily.org/Imgs/ONFliegendeHollander1992.jpg