前の記事の続きです。yahooニュースの記事(リンク)には、9歳時点の学力についての遺伝の影響もかかれています。それによれば算数の成績は72%が遺伝の影響となっており、学力も遺伝要因が大きいとなっています。

ところが、これとは全く違うデータもあります(論文リンク)。その論文の図を引用します。

  日本生理人類学会誌 Vol.22,No.2  2017, 5 107 - 112より引用

 

この論文のデータでは、学業成績(日本・小学生)の算数の遺伝の影響は25%程度です。先のyahooニュース掲載のデータ72%とは全く違う結果。この結果は安藤先生の最新の著書にも引用されています。なので、間違えではなさそうです。

 

 

データを良く見ると、yahooニュースの算数成績遺伝率72%のグラフは、日本人の成績とは明記されていません。一方、上の図にははっきり日本・小学生と書いてあります。ひょっとしたら、yahooニュースの掲載データは、海外の研究に基づくもので、日本は全く状況違うかもしれません。どちらを参考にすべきと考えれば、当然、日本のデータと明記している25%の方で、少なくとも日本での小学生の算数は、環境(特に共有環境≒家庭環境)の影響が強いと考えた方がよさそうです。いいかえると、日本における小学算数は才能(遺伝)ではないという感じ。ひょっとしたら、日本独特の進学塾や公文、そろばん等の影響があるかもしれません。

 

yahooニュースの元はAERAですが、今週号はDNA関係の特集がくまれているようですね。面白そうなので買ってみます。

 

 

またYahooニュースも続きがありました(リンク)。

 

いろいろ関連本を読んでみると、遺伝の影響度は、地域や社会状況、時代によって変わり、絶対的なものではなさそうです。仮にですが、中学受験塾の成績の遺伝、環境の比率を調査するとします。中学受験塾に入れることができる経済力がある家庭ということで、家庭環境のばらつきは小さいとすれば、成績は遺伝の寄与する割合が大きいという結果になる。一方、賢く、有望そう(遺伝的に能力が高いと推定される)だから中学受験を志し、中学受験塾にいれるとすれば、一般より、中学受験塾の生徒は遺伝的ばらつきが小さいかもしれません。この場合は+α(家庭教師とか個別とか)を追加等の家庭環境の影響が大きくなり、成績には遺伝より環境が効いている結果がでるかもしれません。要するに、遺伝、環境の割合は絶対的なものではなく、状況でころころ変わるということです。

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