◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆
「四条大納言といえばそりゃ藤原公任サマですがな!」
と言いたいところですが、必ずしもそうとは限りません。
練香に凝り始めたころ、やさしいお香の本など何冊か読みました。そのうちの一冊に、ちょっとだまされかけてしまいました……
とあるお香の書の中に、藤原公任が考案した「黒方」の調合が載っている、という旨が記されていたのです……!
お香の書というのは、鳥羽院の蔵人・藤原範兼が勅命により調合法を集めて分類した『薫集類聚』。
ではその史料を見てみようということで、該当箇所を確認したところ、
「ん? これは源定という人物の調合では??」
源定。嵯峨源氏です。有名な源信や源融の兄弟にあたります。(にしても、嵯峨源氏の一字名前、かっこいい♡ よくネタが尽きないよね)
大納言までつとめ、通称のひとつに「四条大納言」。親からもとても愛された風雅な人物だったよう。
確かに四条に住んでる大納言、あたりで「四条大納言」ならば、なにも公任に限った通り名じゃないよな。現に、ほかに「四条大納言」として、『徒然草』第182段に、「四条大納言隆親卿」という人が出てきます(この方は四条家の大納言が由来と思われる)。
藤原公任=四条大納言として最も有名なことには変わりませんが、気を付けたいものです。