◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

第一期から断続的に楽しんでいる「女房気分de書写」。

現在は

『栄花物語』を読み、巻一から順にひとつずつ好きな場面を書写

という形で一人密かに進行中です。

 

本日は、巻二十八をご紹介いたします。



巻二十八「わかみづ」:禎子内親王、東宮参入

 

万寿三年(1026)10月~四年(1027)4月。
中宮・藤原威子が無事に女子を出産(章子内親王)。姉の皇太后・藤原妍子の産んだ三条天皇の遺児・禎子内親王が、嬉子を亡くした東宮へ参入する。藤原道長・妍子父娘の体調が思わしくないなか、非常にめでたいことであった。


 

 

禎子内親王が東宮(伯母の彰子所生の敦良親王=後朱雀天皇)へ参入、その日の場面を選びました。

 

すこし先の話をすると、後一条天皇の中宮威子は結局女子しか産まず、先に藤原嬉子の遺した後朱雀天皇の皇子・親仁親王(後冷泉天皇)も跡継ぎを残さずに終わります。結局この禎子内親王の血筋が、天皇家をつないでいくことになるのです。

 

さてこの参入当日の場面、面白いですおとなたちは十五歳の内親王を騙すのですよ。でも母(妍子)も祖母(道長の妻・源倫子)もしみじみしているし、女房たちはきらびやかだし、殿ばらは参集してくるし……ひとりで行かされるのを不審がり嫌がる彼女(ひとりはいかでかと動かせたまはね)に、「これは方違で、母宮もあとで行きますからね」と。
まず弘徽殿へ連れられて行くのですが、東宮の使いがしきりに来る。関白・藤原頼通がなんとか手を取って、東宮の御殿になんとか連れて行く。しかしまたそこで「動きもせさせたまはね」……

初心で身が竦んでいるのか、はたまた騙されたことに憤っているのか?
東宮のほうから、御帳の内へかき抱いて引き入れます。


 

どうっっしても、永井路子『望みしは何ぞ』を振り返りたくなってしまいました!
 ――噓なんて許さないわ。(禎子)[文庫版・195頁]
 ――思いのほかに頼もしい姫君だなあ。(能信)[文庫版・196頁]

 

 

 

 

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