◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

第一期から断続的に楽しんでいる「女房気分de書写」。

現在は

『栄花物語』を読み、巻一から順にひとつずつ好きな場面を書写

という形で一人密かに進行中です。

 

本日は、巻二十四をご紹介いたします。



巻二十四「わかばえ」:姸子の贅沢への道長の怒り

 

万寿二年(1025)1月~3月。
藤原頼通の妾・対の君(源憲定女)が通房を産む。待望の嫡子誕生に、祖父母の道長・倫子は大喜びで、嬰児は土御門第で養育される。ほか、小一条院は母・娍子ならびに女御・寛子の容態が悪化し苦しむ。一方、姸子の大饗が派手に行われた。


 

藤原道長と源倫子の次女・藤原姸子の贅沢が目を引いた今巻。

 

姸子方の女房の装いの華美に驚き、関白であり姸子の実兄でもある藤原頼通に耳打ちして難じるうるさ型の藤原実資。頼通は宴の後、姸子にきつく注意をしたのですが……

 

翌日、道長の知るところとなってしまいます。

怒り狂う道長。

衣は六枚までと定め、姉の彰子(大宮)、妹の威子(中宮)は守っているのに、「この宮(姸子)こそ事破りにおはしませ」と大激怒。関白・頼通の監督不行き届きを責めます。

頼通も注意したのに……←「わりなき勘当」と委縮。さらに道長は、異母兄弟である頼宗や能信らが訪れたときにも怒りまくります。

道長礼賛の栄花物語には描かれていませんが、女子しか産まず三条天皇と道長の架け橋となれなかった姸子は、道長にとって不肖の娘であったと思われます(悪く言えば、“使えない”)。この件ももちろん本人には言えないので、息子たちに怒りを爆発させる道長……頼通も気の毒だし、さらに異母兄弟でしかない二人は大迷惑でしょうね(苦笑)

 


些細なことに怒りを抑えきれない道長の様子も、「さすがにをかしく」と記され、不吉な印象を受けます。さらに巻末の末娘・嬉子の懐妊の描写も、なんとも不安を煽ります。

 

 

 

 

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