◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

本日の<2冊ピックアップシリーズ>(?)は、平安女流文学・永遠のライバル的な2大巨星、

清少納言の随筆・枕草子 VS 紫式部の小説・源氏物語

をテーマにした、山本淳子さん著の朝日選書です!

 

 

『枕草子のたくらみ』(選書957)

 

清少納言はあえて中宮定子の明るい側面しか描かなかった――

 

このことは体感されている方も多いかと思います。

本書では、細かく歴史と照合されており、興味津々でした。

 

 

以下は具体的な、個人的に面白かったところ。

 

・斉信の登場する梅壺の場面が、急に息詰まる政治的駆け引きに変貌したのは刺激的。

・橘則光や平生昌のイマイチな印象はかなり変わった。

・伊周の機知は、定子サロンの特技に同じ中関白家の文化で、母・高階貴子の教養の賜物。詩句を覚えているだけでなく当意即妙に使いこなしてこその教養だな!(ちょっと伊周見直したわ)

 

そして冒頭の「春はあけぼの」について。古今集の向こうを張った心意気、といいます。ありきたりの桜を言わないが、春と朝の取り合わせは仮名序から花を抜いたもの。春に始まるのは古今集の方法でもあります。『枕草子』は、一国の中宮に献上するにふさわしい構成なのです。

 

 

 

 

 

 

『平安人の心で「源氏物語」を読む』(選書919)

 

現代人の自分には、さっぱり理解できない光源氏の魅力――

 

平安人の心で理解できるのか?! と期待していたが、そういう内容ではありませんでした(笑)光源氏の魅力はまだわからない

 

源氏物語の五十四帖のあらすじとともに、幅広いテーマから、平安時代当時の習慣や考え方などをやさしく解説しています。源氏物語本編の未読・既読問わない内容です。平安入門書としても良書かと。

 

 

個人的には『枕草子のたくらみ』に比べ、さほど刺激はありませんでしたが、両著書セット読みはお薦めです!