◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

世界十大小説の『赤と黒』を読んで、「時代背景の違う話、男主人公の話、さらには男性作家による話、全部わからんとなってしまう!」と嘆いていたのですが、今回は現代日本女性の作家・山内マリコさん。

 

 

小説家ってすごい。『パリ行ったことないの』

 

『あのこは貴族』が面白かったのですが、デビュー作の『ここは退屈迎えに来て』はピンと来なくて。今回、再挑戦で二冊読んでみました。

 

 

第一部は掌編集。長めの第二部は、単行本刊行時に加筆。パリをテーマに、さまざまなタイプの女性たちが交替で主人公となります。読み手が女性であれば特に、誰かには共感できるのではないでしょうか。

 

彼女らに一貫して言えるのは、「何者でもない自分」という思い。

個人的には深く刺さる一冊でした。

 

 

作家・山内マリコは、すでに「何者」かであるのに、そうした鬱屈を描けるのだし、自分と異なる境遇の女性の内面を、描くこともできる。

 

やっぱりブンガクってそーゆーものなのかー。想像力の欠如した自分には、到底書き手にはなれっこないし、よい読み手にもなれない。小説家ってすごいな~。わたしも、妄想力が欲しい! 妄想力がないと野心も育たないんだもん!(by林真理子)

 

 

『山内マリコの美術館は一人で行く派展』

 

 

二冊目は主旨を替えて、7年の長きにわたる雑誌連載の美術展レポート・エッセイ。惹句の「みんな、絵の前でなに考えてるの?」に惹かれて。(ただ、「アート界とは無縁の作家が…」ともあるが、山内さんは大阪芸術大学映像学科卒だ)

 

キャッチのとおり、他人の思考を覗くような趣。行先も、レポートも、作者の気の向くまま、といった構成。読み手も気の向くまま読むべし?

個人的には彼女のフェミニストっぽさが好きなので、興味深く拝読。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山内マリコさん、プロレスもお好きだったような……(←未確認)

『美術館は…』の各章末には、亡き愛猫に捧げるチチモ(=猫の名)アートが載っていたり、フェミ臭芬々だし、また読みたいです。