◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆
徒然なるままに、最近発見したことを少し語ります。
<待つ>のが苦手です。長い行列など言語道断、職場での無駄な待ち時間、電車の接続が悪いとき、店での会計の短い列も……
最近流行の「タイパ」ではありませんが、効率を求めすぎて、風流の心を失ってはいないか?! と心配になるレベルです。
なんでここまで待つの苦手なんだろう……
先日つらつらと考えていたのですが……
◆磐姫皇后と「待つ女」
昨年ご紹介した万葉集紹介漫画『万葉恋日和』に、磐姫皇后が取り上げられています。仁徳天皇の皇后である彼女、時代が古すぎて、本人の歌ではおそらくないでしょう。
君が行き日(け)長くなりぬ山たづね迎へか行かむ待ちにか待たむ
かくばかり恋ひつつあらずは高山の磐根し枕(ま)きて死なましものを
ありつつも君をば待たむ打ち靡(なび)くわが黒髪に霜の置くまでに
万葉集・巻第二 85~87
中西進『万葉集 全訳注原文付(一)』講談社、1978年
最初は、なかなか帰ってこない天皇を待つか追うか、じりじり迷っています。二首目になると、あーもうぐずぐず待ってるくらいなら死んでやる~!! の勢い。
ところが、最後の歌では、「黒髪に霜の置くまで」「待たむ」と。そんなに待つなんて、ある意味激しさを感じさせなくもないですが、結局は<待つ>という選択に落ち着くわけです。
つまり、これが女の歌の原初・源として、理想形とされたわけですよね。万葉集が編まれた時代にすでに。
さあ、ここまでくればわかりますね。
(注:以下ちょっとやばい人になっておりますので、次回に続く)