◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

式子月次絵巻

 

歌人として名高い式子内親王が編んだという月次絵巻(つきなみえまき)」藤原定家の明月記に記録が残るのみですが、月ごとの歌などを式子が絵巻に仕立てたものとされています。

 

 

8月:夭折の貴公子、父を失った孤独の歌

定家の記録には「道信朝臣、虫ノ声」。
複数の候補の中から、以下で書きました。

声そふる虫よりほかにこの秋は又とふ人もなくてこそふれ
 (道信集41)

貴公子の名は、藤原道信。父の法性寺太政大臣・藤原為光に死別してまもなくの歌です。遺された子の孤独を歌っていますが、このたった2年後、弱冠23歳で道信も亡くなってしまうので、より切なさが迫ります。

 

和歌に秀でた道信は、藤原公任や藤原実方とも親しい友人でした。また、藤原斉信にとっては5歳違いの異母弟にあたります。



 

作品/ポイント覚書

 

 

右に大きく余白をつくり、父を失って訪れる人もない寂しさをあらわしてみました。