◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆
ここ一年くらいで続いた現象。
昔ハマった作家さんを今読んでみると、
感じ方が全然違う!!!
まぁ至極当たり前のことなのでしょうが。
だから人生面白い、って実感しているので改めて。
あ、ここでいう「昔」は概ね20代、せいぜい30代前半くらいね。
(自分は定年を心待ちにしているアラフィフ女。
目標は60歳のゆるファイヤー!!笑)
◆辛口美容論「齋藤薫」さん
最初に気づいたのは、地曳いく子さんのR50~R55美容論を読んだとき。
ふと、「そういや昔、齋藤薫さんにハマってたよな……」と思い出し、彼女の比較的新しい著作に手を伸ばしました。
齋藤薫『大人の女よ! もっと攻めなさい』
知的かつ辛口で読み手の内面をえぐる美容論が人気の齋藤薫さん。
高い理想を小気味よく断言していく齋藤節はまったく衰えることなく、なつかしかった!
しかし……ぜんっぜん響かないのです。
どこか遠いものを見る目というか(笑) 「一生ハイヒールという美容」とか、もう完全に他人事。というか、ハイヒールは生涯一度も履きつけなかったし、ローヒールも引退してはや何年……(きっかけは東日本大震災だったか)
美容論は人生論。昔は「こうありたい、あらねば」感が強かったのですが、諦めがつくというか、万事自由に考えられるようになってきた気がします。
◆独特の人間観察「姫野カオルコ」
たまたま手元にめぐってきた姫野カオルコさんの文庫。比較的新しい、犬猫ネタのエッセイでした。
姫野カオルコ『近所の犬』
そこは姫野さん、「かわいい~♡」とか「人生の支え!」みたいな、そうした空気はありません。動物とも適度な距離感。背後の人間観察・考察ももちろんセットになっていて、相変わらずの姫野さん流を楽しみました。
しかしですねえ……昔はもっと、彼女のエッセイや作品にあふれる“他人とうまくいかない”オーラに、痛いほど同感したものでした。
ところが現在の自分と来たら、
「うんうん、そんなこともあるよね~笑」
感受性が鈍化したのか、それとも経験で狡猾になったのか。本当に自分でも驚いています。そういえば、姫野さんも「大人になる楽しさ」(224頁)ということを書かれています。
◆乙女のバイブル「嶽本野ばら」
いやまぁ、これは当然のことでしょうね。
著作群は“乙女のバイブル”と言われる野ばらさん。中性的な美しい装いの、男性作家さんです。とはいえ、中原淳一的な清純オトメではないのですよ。なんというか……アングラっぽいというか……書いているだけで気恥ずかしいのですが、それこそ、20代のころは結構……好きでしたね……はい。
フランスでも人気の映画『下妻物語』(原作タイトル同じ)が世間では有名でしょう。ロリロリ深キョンが可愛かったやつです。
最近、ちょっとカフェについて知りたくて、探した本を読みました。
嶽本野ばら『カフェー小品集』
作者が実際に偏愛する店に取材し、インスパイアされた短編集。基本的には小説ですが、実録エッセイの雰囲気も交じる不思議な一冊でした。
お洒落で健康的なカフェではない「カフェー」を舞台に描く、才能ある男、病んだ女、危うい恋愛……この世界観が気恥ずかしいのは、自分が硬直したのか成熟したのか?
このカフェーの物語を読んで、いまの自分がひとついえるのは、カフェよりカフェーより、自宅が一番の居場所だってことだけでした……
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変化するから面白い人生、そして自分!
ハマってきた対象、ハマってきた自分、どれもいまはただ愛おしく、そして歳を重ねるごとに変わり続けていることもうれしい。
たまには人生を振り返るのも、発見があるかもしれません。