◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆

 

先日、『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』という本を読みまして、興味深かった内容を、今後何回かに分けて記しておきます。

 

 

「四君子」など 花にまつわる名数

 

春の七草(芹・薺、御形・繁縷、仏の座、菘・蘿蔔)、秋の七草(萩・桔梗、葛・藤袴、女郎花、尾花・撫子)は有名です(春の七草は読めないな→セリ・ナズナ、ゴギョウ(正しくはオギョウ?)・ハコベラ、ホトケノザ、スズナ・スズシロ)。

 

ほかにも花には名数が多くあるそうです。

 

 

 

①四君子(しくんし)…ラン、タケ、キク、ウメ

書画を好む自分にとってなじみ深い。高潔な美しさや気品と風格に満ちた様子を君子にたとえます。水墨画の代表的な題材です。

 

②三君…ウメ、ジンチョウゲ、スイセン

春の訪れを祝うめでたい花としてよく描かれます。

 

③厳寒(歳寒)の三友…マツ、タケ、ウメ

いわゆる「松竹梅」、冬も常緑で永遠の命を象徴するマツ、屈することなくまっすぐ伸びるタケ、百花に先駆けて花を咲かせ香りを漂わせるウメ。なぜかおせちなどでランク付けされてしまうのが不可解です。

 

④雪中の四友…ウメ、ロウバイ、サザンカ、スイセン

雪の中でも花を咲かせます。

ちなみにロウバイ(臘梅、蠟梅)はロウバイ科で梅との類縁はありません。12月の別称「臘月」に関連がありそう。サザンカとツバキの花は似ていますが、サザンカは花びらがバラバラと落ちること、それ以上に12~1月に咲いていることに対しツバキの咲く時期は2月以降になります。

 

⑤三大芳香花…キンモクセイ、ジンチョウゲ、クチナシ

一説には、中国での別称は、ジンチョウゲ「七里香」、キンモクセイ「九里香」なのだとか。ちなみにジンチョウゲに「沈丁花」と漢字をあてますが、薫り高い「沈香」と「丁子」から採ったそうです。

 

⑥七香花…ウメ、ユリ、キク、スイセン、クチナシ、キンモクセイ、ジャスミン

⑤と重複しない花は、ほのかで上品な香りが多い印象。

 

 

 

冒頭の七草に話が戻りますが、『万葉集』で最も多く読まれている花は、秋の七草の筆頭・ハギ(萩、「芽子」と多く表記された)なのだとか。逆に平安時代には盛んに詠まれている印象のキクは、万葉集成立のあとに中国から伝来したから詠まれていないとか。

楽器の琵琶の名を持つビワ(枇杷)は、奈良時代に日本で見られた野生種はもっと小さなものであったとか。

 

いろいろな豆知識が面白いです。

 

 

 

 

ちなみに、冒頭の写真の本。