先日の空海展 で、あまりにも帝釈帝釈いってたら、またもや昔の漫画を思い出してしまいました。
CLAMP『聖伝 RG VEDA』 (全10巻、新書館)。手元に残っているのは最終巻の10巻のみで、奥付は1996年になっています。結構、古いですねー。
この漫画にも“帝釈天”が出てくるんだよね。学生だった当時、もっとも好きなキャラだったと記憶しています。
残虐無比な天界の簒奪者。「魔族にも劣る行い」の証である額の天眼をもつ、美しき支配者。実は、ある約束を守るために生きてつづけている男――。
みたいな感じ。
この漫画、天界のお話ですから、登場人物は天部・八部衆※が中心です。主役格の阿修羅王に夜叉王はじめ、迦楼羅王、乾闥婆王、竜王、それに毘沙門天、増長天、吉祥天など……
登場人物の9割がた死んでしまうという壮絶な物語です。
※「天部」の仏とは、六道の最上界である天に住む神々で、仏教護持や招福のはたらきをもつ。帝釈天、梵天、四天王、吉祥天など。「八部衆」とは、元来仏教に敵対した邪神であったが、仏法を護持する立場に変わった八神。阿修羅王、天王、竜王、夜叉王、迦楼羅王、乾闥婆王など。[参考:佐藤知範『仏像のみかた』西東社、1996]
この漫画では阿修羅王が主人公格で、かわいらしい少年とも少女ともつかない姿(性別はありません)に描かれています。夜叉王に護られている存在ですが、最後に覚醒して見かけも大人っぽくなります。
やはり阿修羅は人気ありますよね。
これも相当古い漫画ですが、中津賢也『黄門★じごく変』 も阿修羅が登場します。阿修羅はちょっと色っぽい女性風に描かれていますが、やはり性別はありません。阿修羅王の上(強さ)に、主人公であるふたり(竜王、天王)がきます。このふたりの地獄めぐりを描いた少年漫画です。(もう手元にないので、うろ覚えですが)
どうもこうした漫画で諸尊のイメージが固まってしまいます(^^;)
たとえば、『聖伝』の増長天は、ものすごいちゃきちゃき(?)の人情オヤジって感じなんですが、どうもそのインパクトが拭えません……毘沙門天(四天王の多聞天と同神です)はもの静かでクールだけどすごく強くて、とか……そしてその毘沙門のイメージは、まんま上杉謙信に重なっていきます。
また逆に、漫画などで扱われている阿修羅王の美しいイメージは、やはり興福寺の阿修羅様から来ていることは間違いないでしょう。
まあ、そもそも仏像自体が、人々にイメージを与えるという意味で漫画と変わらないのかも。というか、漫画のイマジネーションも、残された仏像などが源だったりするわけですし。
どうして興福寺の阿修羅像はあんなきれいな少年の顔をしているの? とか、不思議ですよね。長岡良子さんの<古代幻想ロマンシリーズ> 『昏い月』所収「飛火野幻想」は、阿修羅像制作にからむお話でした。
そういや、東大寺戒壇院の“広目天様”もシブメンでいいのよね~。写真家・入江泰吉氏の撮影作品で有名かもしれません。東大寺で実際見たら、吸い込まれそうになってしまいました(笑)
シブキャラ・広目天様が活躍する漫画ってないのかしら。