今回の文字位置は、下部分から始まり、最後上部分になっています。
ちょっと「きり立ち」が小さくなってしまいました。
め
むらさ免の
ま た ひ
つゆも万多飛ぬ
ま き
満支の葉ニ
きり立ち
の ほ
能本る
秋の
れ
夕く連
87 むらさめの 露もまだひぬ まきの葉に 霧たちのぼる 秋の夕ぐれ
寂蓮法師
訳:にわか雨の露もまだかわかない槙の木々の葉に、霧が立ちのぼる秋の夕暮よ。
メモ:「槙」は、よく出てくる木の名前だが、杉・ひのきなどの常緑樹の総称とのこと。寂蓮(俗名藤原定長、1202年没)は、藤原俊成の甥で養子だったが、定家の誕生後に出家。寂蓮の「夕暮」の歌といえば、「さびしさは その色としも なかりけり 槙立つ山の 秋の夕暮」を思い出す(やっぱり「槙」だ)。これは<三夕の歌>として有名。ほかの二つは、「見渡せば 花ももみぢも なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮」(定家)「心なき 身にもあはれは 知られけり 鴫立つ沢の 秋の夕暮」(西行)。