事件出来!

知らず知らずのうちに、筆を完全に下ろしてしまいました!

本来、かなを書く筆は、先の1/3を下ろせばよいものです。

なのに、全部下ろしてしまっては、思う線が出ず、書きづらい……


仕方なく、改めていったん水につけて全部下ろしてから乾燥させ、きれいな形に整えてから、新たに1/3を下ろす、という処理をしました(><)


さて、今回は、「濃淡」に気をつけ始めてみました。

うっかり筆を下ろしてしまうことからもわかるように、どうしても筆につく墨が途切れることを恐れて、つけすぎてしまいがちです。結果、ずーっとべったり濃いまま、のっぺりした紙面になってしまう……

筆先の墨が少なくなってきても、焦ってはいけません。墨がたっぷりのときより、じっくりゆっくり筆をすすめます。そうすると、薄くて枯れ気味だけど、しっかりした線が出てきます。



くじょう みやび日録-おほけなく

お ほ け な

於本遣那くうきよの

  に      ふ か

民耳おほ布可な

わ か た   そ ま に

王可多つ所万尓

    そ      そ

すみ曽めの楚


95 おほけなく 憂き世の民に おほふかな わが立つ杣に すみぞめの袖

                                      前大僧正慈円


訳:身のほどをわきまえないことだが、私は、苦しみに満ちた現世に生きる人々に、(仏のご加護を祈って)おおいかけることであるよ、伝教法師がお開きになった、この比叡山に住みはじめた私の、墨染めの法衣の袖を。


メモ:慈円(じえん 1155-1225)は、歴史書『愚管抄』の作者として、教科書にも載っている著名人。関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟に当たる。天台座主(4度)、大僧正。その史論は、歴史の展開を「道理」の理念によって説明したもの。なお、歌中の「わが立つ杣」は、伝教法師(最澄)が比叡山根本中堂を建立したときの歌にちなんでおり、比叡山延暦寺のことをさす。