「なら」って「奈良」かと思っていました……

奈良の小川ではなく、京都の上賀茂神社の境内を流れる小川だったのです。

しかも、(なら)の木を掛けています。


くじょう みやび日録-風そよぐ

                 

風そよくならの小川濃

        は   そ き そ

ゆふくれ盤み曽幾所な

     し     な り

つの志るし那利

け る

希流


98 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける

                                      従二位家隆


訳:風にの葉がそよいでいる、このならの小川の夕暮れはもう秋の気配がしているが、みそぎの光景だけが、まだ夏の証拠なのだなあ。


メモ:「みそぎ」は陰暦六月と十二月の末日に行われる大祓(おおはらえ)のことで、ここは六月祓(みなづきばらえ)のこと。翌日七月一日からは秋になる。今で言う八月十日過ぎくらいである。藤原家隆(1158-1237)は、藤原定家と並び称される歌人で、定家の父俊成の門下。定家より四つ年上で、ともに新古今和歌集の撰者。