1985年のクラッシュ・ギャルズ
◆◆◆くじょう みやび日録 第二期◆◆◆久々のプロレス本です!当時大ブームだった女子タッグチーム「クラッシュ・ギャルズ」。当人である長与千種、ライオネス飛鳥、そして観客席にいたある少女の視点を交え、さまざまなインタビューや取材から構成。二人の生い立ちから、ブームの渦中、そしてその後までを追っています。わたしが目撃したのは再結成時の「クラッシュ2000」であり、80年代のクラッシュブームは直接は知りません(もちろん生まれているからブームだったことくらいは認識しているが)。生い立ちからドラマチックな長与は、レスラーとしての天才ぶり(決して身体能力は高くない“落ちこぼれ”にもかかわらず)、その後の芸能活動や団体立ち上げなどの活躍も描かれています。長与の立身出世物語のようでもあるが、その影であった優等生レスラー・飛鳥が印象的でした。◆優等生・ライオネス飛鳥の苦悩個人的に女子プロレスを追い始めたのは、復帰後の飛鳥がヒール転向して絶好調だったころ。しかもかつてはクラッシュというスーパースターであった威光もあり、憎らしくもカッコよかった(イケメンだし)。ところが、80年代当時のクラッシュでは、飛鳥は長与の添え物のような存在だったと知って驚きました。ファン比率は長与7:飛鳥3、いや8:2くらいかとのこと! 親衛隊でも長与ファンは数も多く序列争いでギスギスしていたそうですが、少数派の飛鳥ファンは平和だったとか。レスリングの実力でいえば、優等生だった飛鳥が圧倒していたにもかかわらず! お前のプロレスは面白くない、と上層部からは言われてしまう。望まない芸能活動、長与の引き立て役、忙しさで練習もろくにできず……飛鳥の苦悩が伝わってきました。わたしがこのタイプに弱いだけかもしれませんが(それは認めるな~。『かげきしょうじょ』の杉本さんとか)、令和の時代だったら、もっと飛鳥は支持されそうな気もします。中盤以降はほぼ飛鳥の成長物語のような趣でした。復帰と挫折を経てプロレスについて深く考えること(=「観客の心を自在に動かす」<文藝文春版260頁>)を手に入れた彼女は、長与とようやく肩を並べ、相手を認めることができるのです。聡明なうえ身体能力に長けた飛鳥が、二度の女子プロレス大賞を獲得する活躍を見せたのは必然だったのです。そうして初めて、クラッシュ・ギャルズは「クラッシュ2000」として再結成をかなえたのでした。◆長与千種の新団体についての衝撃驚いたのは、長与が立ち上げた団体GAEA JAPANの話。長与が全女の悪いところを排除して精魂を傾け育てました(それにしても、ブーム前後の全女のひどいこと! 今思うと悪い「昭和」てんこ盛り)。新人選手や団体の評価も高かったことを覚えていますが、反面、選手たちは純粋培養されすぎて「支配」されていたも同然だったのです!「私たちは長与選手に飼われていた」との三期生・広田さくらの言や、「マインドコントロール」という単語(276頁)は、すべてを否定しているわけではないにしろ、衝撃でした……*当時の熱狂的なファンによる実録が並行するので、ブームから終焉・その後がよく分析されていて興味深く感じました。長与と飛鳥という二人それぞれの、また二人の物語とともに、惹き込まれて読みました。1985年のクラッシュ・ギャルズ (光文社未来ライブラリー) [ 柳澤健 ]楽天市場 楽天市場で詳細を見る Amazon(アマゾン)で詳細を見る *私的なおまけ*ごくごく個人的には、文藝文春版239頁前後の今は亡き冬木弘道が飛鳥に合わせて試合を成立させてくれた逸話が泣けました。新生FMWがわたしの青春(?)でした。冬木~~! それにしても病気で亡くなったの、まだ42歳だったのか! ひえ~、冬木の没年なんかとっくに越してしまってるわ。私にとってはものすごくおじさんのような感覚だったけど(笑)