2017年の総選挙では一人区である小選挙区では自民党は得票率48%で過半数には達していないにもかかわらず小選挙区での獲得議席数は218議席で、議席占有率は75%にも達しました。野党候補が一人区に複数立候補し、共倒れしたためです。自民党候補に勝つためには一人区では野党が候補者を一人に絞ることが有効であることは誰の目にも明らかです。

 

比例についても野党が名簿を統一することが自民党に勝つうえで効果があると主張する人がいますが、これは理論的にも客観的にも間違いです。

 

例えば2017年の総選挙で自民党は比例では得票率33.3%で議席占有率は37.5%(66名)、立憲民主党は得票率19.9%で、議席占有率は21.0%(37名)、希望の党は得票率17.4%で議席占有率は18.2%(32名)です。つまり比例選挙では各党とも得票率と議席占有率はほぼ同じです。立憲と希望を合わせたとしても合計得票率は37.3%、合計当選者数は69名で議席占有率は39.2%で、ほぼ得票率と同じです。

 

今年の参院選に向けて比例選について野党の統一名簿を主張する人がいますが、これまで述べたように比例選では統一名簿にしたからと言って理論的にも実際的にも有利になることはありません。枝野代表が言っているように有権者が戸惑って逆効果になる可能性のほうが高いと思います。例えば、原発ゼロを主張する立憲民主党の候補と原発容認の他党候補が同じ統一名簿に載れば、有権者は判断に迷い、その名簿提出政党に投票しなくなる恐れがあるからです。

 

大きな野党の塊を作るために、立憲民主党は国民民主党と合併するべきだと考えている人がかなりおられることはよく知っています。国民民主党はもともと小池都知事が立ち上げた希望の党が総選挙後に民進党と合併してできた政党です。小池氏本人と創立メンバーの多くはすでに党を離れており、国民民主党の名前で選挙を戦ったことはなく、政党の存在自体が国民に広く認知されているとは思えません。立憲民主党の政策理念に同調できるのであれば、無所属の会が決断して実行されたように、国民民主党は解散し、一人一人の判断で立憲民主党に参加してもらうことが望ましいと私は考えています。