今年は統一地方選、参院選と多くの選挙が予定されています。私は選挙運動の楽しさをパートナーの皆さんと広く共有することを考えています。

 

私が本格的に選挙運動にかかわったのは1974年の参院選挙の時からです。その頃私は特許事務所に勤務しており、弁理士試験にようやく合格し気分的に余裕ができ、関心のあった土地問題をテーマに「より良い住まいを求める市民の会」という名の市民運動を始めていました。その運動の中で最初に出会ったのは後にサラリーマン新党を作られた青木茂さんでした。1973年の春、青木さんに加えて、当時落選中の市川房枝さん、参院議員の青島幸男さん、そして都留重人一橋大教授の4人を招いて土地問題の集会を開きました。これがきっかけで市川房枝さんが主宰されていた「理想選挙推進市民の会」に参加することになり、翌年1974年の参院選挙で全国区から出馬された市川さんの選挙事務長を務めることになりました。当時市川さんは81歳、私は27歳でした。

 

市川さんの選挙には作家の有吉佐和子さんなど著名人だけでなく、学生ボランティアが数多く集まりました。そうした多くの若い仲間と市民運動や大学祭のノウハウを生かして選挙運動を進めました。選挙カーを使って九州から北海道まで走破する「全国草の根キャラバン」。駅前の空き地を次々と探してテントで移動選挙事務所を作り、そこで合成洗剤反対運動の仲間が石鹸を売って利益をカンパする活動。早稲田の雄弁会の学生さんには朝から晩まで休みなく誰かがしゃべっている「マラソン演説会」をやってもらいました。選挙結果は193万票の得票で全国区第2位で市川さんは当選されました。

 

私にとってだけでなく、この選挙に集まってきたボランティアの人たちにとって市川選挙は大変な激務の連続でしたが、楽しい経験でした。この様子は選挙直後に朝日新聞に連載された有吉さんの「複合汚染」の冒頭部分で紹介されています。

 

選挙運動は新しい人との出会いの場であり、お祭り的な面もあって労力的に大変なことも多いけれど楽しいものです。既成政党の選挙は業界や労組など既存の組織化された動員が中心で、限られた人しか選挙運動には参加していません。しかし、一昨年の総選挙では10月2日に枝野代表が記者会見をして生まれた立憲民主党には既存の支援組織はありませんでした。しかしネットなどを通して枝野代表の街頭演説に集まってくれる人はどんどん増え、結党からわずか20日後の投票日に立憲民主党に投票してくれた人は1100万人に上りました。

 

次の選挙ではまずこの投票してくれた1100万人の人にいかにして楽しい選挙運動に参加してもらえるかだと考えています。投票してくれた人に立憲のパートナーになってもらい、政策的な意見を言うだけでなく、選挙の時に近所の公営掲示板に候補者のポスターを一枚でも貼ってもらうことができれば日本の民主主義は大きく変わります。みんなが参加したくなるような楽しい選挙をどうすれば繰り広げられるかです。ぜひ皆さんも考えてみてください。ご意見をお待ちしています。