今日(12月14日)の朝日新聞夕刊の連載「平成とは」に「熱かった『国民的議論』」の記事が掲載されています。民主党政権時代の熱かった「国民的議論」と、その後の安倍政権になってからの国民のパブコメによる意見を無視した第4次エネルギー基本計画の閣議決定のプロセスが明らかにされています。現在に続く安倍政権の国民無視はこの時から始まっていることが良く分かります。

ぜひ一人でも多くの人に読んでもらいたいと思い、今日の朝日夕刊の「平成とは」の記事を以下に転載させていただきます。

 

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熱かった「国民的議論」

 あれほど熱い原発政策の論議はなかったと思う。2012年夏の「国民的議論」のことだ。

 福島の事故を受け、当時の民主党政権は30年の原発比率として0%、15%、20~25%の選択肢を示し、国民の声を聴いた。

 全国11都市で開いた意見聴取会には約1300人が参加。討論を通して意見がどう変わるかをみる「討論型世論調査」も導入した。

 国民に広く意見を求めるパブリックコメントには約8万9千件の意見が集まった。マスメディアの世論調査も詳しく分析した。

 大変な労力だったはずだ。これらを差配したのが国家戦略室企画調整官の伊原智人(50)だ。元は経産官僚だ。民間企業に転じていたが、事故の後、民主党政権にスカウトされて霞が関に戻った。

 その「国民的議論」で得られたデータを分析すると、大きな方向性が見えた。「少なくとも過半の国民は原発に依存しない社会の実現を望んでいる」

 伊原は言った。「自民党ならこの答えが変わるとか、民主党だからこういう答えになったのではありません」。民主党政権が打ち出した「30年代に原発ゼロ」という方針も、「この『結論』と整合性がとれていました」。

 だが、12年暮れの総選挙を経て誕生した安倍政権は14年4月、原発に回帰する第4次エネルギー基本計画を閣議決定する。この計画案のパブコメには1万8千件強の意見が集まったが、経済産業省は原発への賛否を分類しなかった。

 「ならば自分の手で」と私は経産省に情報公開請求した。分類すると、「脱原発」は94%、「維持・推進」は1%だった。パブコメは強い思いを持つ人が出すので、「偏る」傾向があるが、原発推進側にいる経産省はこれを出したくなかったようだ。

 政権交代に伴って退官した伊原はいま、バイオマスのベンチャー企業経営者になっている。「サステイナブル(持続可能な)社会の実現」を目指している。

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以上が今日の「平成とは」の記事です。原発政策では安倍政権は事故の前からはもちろん、あの福島原発事故があった後も原子力ムラの従順なしもべで、その言うがままであることが良く分かります。