1996年6月9日・徳島

 

昨日、仙谷由人さんの訃報を聞き、驚くとともに同世代の長年の同志をなくし、大変残念に思います。心からご冥福をお祈り申し上げます。

 

仙谷さんと私と同じ1946年の生まれで、学園紛争華やかなりしころに大学に在学し、二人ともそれぞれの大学で学生運動を経験してきました。学生当時は面識はありませんでしたが、その後知り合うようになってからは同世代の同志と思ってきました。学生運動経験者から政治家になった人はあまり多くはありません。仙谷さんは弁護士として活躍していましたが、1990年土井委員長の時に社会党から初当選。江田五月さんが結成したシリウスという議員集団で一緒に活動し、その後新たに結成された民主党でもずっと一緒に活動してきました。

 

私が総理大臣に就任することになった時、誰に女房役の官房長官をお願いしようかと考え、私に耳の痛いことでもしっかり言ってくれる仙谷さんにお願いしました。総理在任中いろいろな出来事がありましたが、中でも尖閣諸島沖の中国漁船の日本巡視船への衝突事件で、武力衝突に発展しかねない事態を鎮静化するにあたっては、仙谷さんの力によるところが大きかったと感謝しています。また東日本大震災とそれに伴う福島原発事故の時には、官房長官になっていた枝野さんを助けるために官房副長官として戻ってきてくれ、八面六臂の活躍をしていただきました。

 

仙谷さんは若手を育てる親分肌の政治家でもありました。仙谷さんの薫陶を得た若手が経験を積み、今や野党政界をリードしています。これからも仙谷さんの育てた若手の活躍を天上から見守り、応援し続けてください。お願いします。